あかり&浩之・最初の年越し

Verkita de MooLing


「――あかり~、まだ見付からないのか?」

「うーん……今年はおせち料理、本格的なのを作ろうと思ってんだけど、どうしても見付からない材料が」

「なあ、一度家まで戻らねーか? オレもう、ここまで買ってきた食材の山を抱えたままで、腕がしびれてきた」

「それもそうだね。それじゃ浩之ちゃん、一旦帰ろうか」

「それにしても……何で今年に限って、オレんちの おせちなんて作ろうって気になったんだ?」

「何でって……私の自信のおせち料理を、浩之ちゃんに食べて欲しいから――って理由じゃ駄目?」

「いや……充分だ。充分だけど……あかり、今思いっ切り恥ずかしい事言ってるぞ」

「え?……で、でも、本当の事だから」

「ああ、分かった分かった。とにかく、一旦帰って、出直してこようや」

「うん」

「――出来たよ、浩之ちゃん」

「おっ、待ってました、年越しそば」

「うん。おせち料理も出来たし、後は浩之ちゃんの部屋で、一緒に除夜の鐘を聞くだけだね」

「月の光に照らされて、揃って生まれたままの姿で抱き合いながら、か?」

「……もう、浩之ちゃんのえっち」

「しないの?」

「……する」

「わあ、あかりちゃんのえっち」

「浩之ちゃん!」

「あかり、そばが冷めるぞ」

「えっ? う、うん……」

「ねえ、浩之ちゃん」

「んっ、何だ?」

「今年も、今日で終わりだね」

「ああ……そうだな」

「おばさんたち、何で帰って来ないの? 年末なのに」

「親父とお袋か? 今年は急ぎの仕事が入っちまって、年末も年始もないって言ってたな」

「ふーん、それって、何か気の毒だねえ」

「バーカ。あんな台詞、本気に取る奴があるかよ」

「えっ?」

「オレとあかりのことは、とっくにバレちまってるんだ。だから、親父・お袋なりに、オレ達に気を利かせて家を空けてくれたんだよ。仕事なんて言って、本当はどっか温泉にでも行ってんだろ」

「あっ……そうだったんだ」

「お袋なんか、しょっちゅう言ってるぜ。『早く初孫が見たいわ』だって」

「それ、うちのお母さんも。『マタニティグッズが必要になったら、早く言ってね』って」

「あ~あ、親の理解がありすぎるってのも考え物だな。何かこう、変にプレッシャーがあってさ」

「でも、猛反対されるよりはいいでしょ?」

「……それもそうか」

「――浩之ちゃん?」

「ん?」

「考えたら、今年の正月には想像も付かなかったよね? 私達がこんな会話してるなんて」

「あん時は、まだ、ただの幼馴染みだったからな」

「そうだね。……でも、私達って、そんなに変わったのかなあ?」

「大変化だろ? 友達から恋人だぜ。それもsteadyな」

「そのわりには、浩之ちゃんは、相変わらずの浩之ちゃんだし……」

「あかりだって、相変わらずの あかりだろ?」

「でも、それって……」

「別にいいんじゃねーか」

「えっ?」

「恋人、即大人ってわけにはいかねーよ。時間はたっぷりあるんだ。焦らずに、ゆっくりと大人になればいい。それに」

「それに?」

「オレは、今のあかりが、好きだぜ」

「……浩之ちゃん」

「あかりは、どうなんだ?」

「……私も……今の浩之ちゃんが……」

「だったら、それでいいんじゃねーか」

「……うん」

「十何年と付き合ってきて、やっとここまで来れたんだ。これからも、お互いのんびりといこうぜ。なっ、あかり」

「……うん、浩之ちゃん」

「――あかり」

「何?」

「来年も、よろしくな」

「私こそ、よろしくね、浩之ちゃん……」

――完――


あとがき

今回は、まともな ほのラブ物……のはずですが、ちょっと あかりがHですかねえ。

まあ、“はじめて”がアレですから(何せ第2ラウンドが)……。


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