「……まあ、お前らしいといえばお前らしいけどさあ」
「…………」
目の前の男の台詞に、俺は無言で相づちを打った。
「確かに言ったよ。『そんなにいろいろと技術持ってんなら、便利屋でもやったらどうだ?』って」
「…………」
「でもさあ、俺の記憶に間違いがなけりゃ、それって1週間前の話だよな」
「……ああ」
「で、その日のうちに、この雑居ビルの1室を押さえて即行で契約。そして、どこから調達したのやら、机やらパソコンやら電話やら必要な機材を全部一人で運び込んで、1週間後の今日、便利屋『HELPS』本日開業――なんて芸当をやってのける奴なんて、お前ぐらいのもんだぞ、船島(ふなじま)」
「……俺も、そう思う」
Suplemento de «Working Days», n-ro 1
俺の名は、船島 大輔(ふなじま だいすけ)。27歳。
S県出井豆(でいず)市で生まれ育ち、市内の古那賀(こなか)大学を卒業したのが、5年前。
卒業式の翌日には日本を出国。以来、ひとり世界中を放浪して回り、久方ぶりに帰国したのが、1999年――つまり、今年の4月。
でもって、安アパートを借り、あちこちの日雇いバイトで小銭を稼ぎながら気ままに暮らしつつも、そろそろ正業に就いた方がいいかなと思っていたところへ、上の会話の相手――俺の高校時代からの知人で、俺が放浪生活をしていた時期も頻繁に手紙をやり取りしていた相手、田中に久しぶりに出会ったのが、6月の末頃。
そして、1週間後の7月始め――つまり今日。
染みのほとんどない、いかにも開業初日らしい綺麗な事務所では、便利屋『HELPS』所長にして唯一の社員である俺と、さっきから呆れ顔で俺に悪態をついている田中の男二人が、応接室のソファーに座って向かい合っていた。
「ノストラダムスの大予言、的中だな。1999年7の月、本当にこの雑居ビルに降臨してきやがった」
「…………」
俺は無言で田中をにらみ付ける。俺を『恐怖の大王』扱いするな。
「超無口なくせして、ガタイは人一倍でかいし、存在感は抜群。そんなお前が目の前にぬーっと姿を現してみろ。『恐怖』以外の何者でもねえ」
言ってくれるな、田中。だがな。
「……婚姻自由化法」
「うっ……!」
案の定、田中の顔色が変わった。
婚姻自由化法――ノストラダムスにとち狂った首相が、今年2月に突然、
『どうせ、もうじき人類は滅亡するんだから、結婚ぐらい自由にやればいいじゃないか』
と言い出し、電光石火で衆参両院を通過。あっと言う間に成立させてしまった珍法律。
これにより日本は、近親やら同性やら多妻やら多夫やら幼児やら、とにかく当事者の合意さえあれば何の制限もなく結婚できる国になってしまった。
成立当時まだホノルルにいた俺は、このニュースを聞き、本気で帰国を取りやめようかと思ったものだ。
「……妹は元気か」
「ま、まあな……はは……」
実の妹と“間違いを犯した”挙げ句、婚姻自由化法をいいことにそのまま結婚してしまった――ある意味、そのノストラダムス様に救われたお前に、『恐怖の大王』などと言われたくない。
「えー……いや、そんなことより船島、今日の仕事はどうした?」
風向きが怪しくなり、田中は不自然に話を変える。
「…………」
その質問に、俺は無言で首を横に振った。
当然である。今日が開業日――つまり、全く実績がない上に、広告も昨日のタウン誌に載せた奴だけ。
そんな便利屋にいきなり客が殺到するなどとは、いくら楽天的な俺でも思っちゃいない。
「そんなこったろうと思って、仕事を持ってきてやったぜ。差し詰め、俺が客第1号ってとこだな」
田中は一転にやりとして、そんなことを言い出した。
「…………?」
「意外そうな顔をするなよ。俺だってサラリーマンだ。平日の朝に、ただ知人の顔を見るだけのために、こんな所まで来るわけがないだろ。
実は今日、俺の勤務先で事務所の引越しがあるんだ。まあ、引越しといっても、同じビルの2階から4階へ移るってだけなんだが、うちは中年や女子社員ばかりで力のある奴が少なくてな。助っ人が一人でも来てくれると助かる」
「…………」
俺は、無言で大きくうなずいた。
そういうことなら大歓迎だ。俺はどんな仕事でもこなす自信があるが――でなきゃ、便利屋になんかならない――中でも力仕事には絶対の自信がある。
「決まったな。引越しは昼休み明けに始まるから、その頃に来てくれ。場所は知ってるな?」
*
田中の勤務先は、雑居ビルの2階に事務所が一部屋あるだけ、社員約20人の小さな会社である。
正午過ぎに、その会社の近くの公園で昼食(コンビニ弁当)を済ませた俺は、昼休みが終わる頃を見計らって、今回の仕事先へ向かった。
事務所に着くと、既に引越し作業は始まっていた。
「船島ーっ、こっちだ!」
田中が入口に立つ俺を見付け、俺を大声で呼ぶ。
田中に連れられ、そこの社長に簡単にあいさつを済ませると、俺は早速、社員たちの作業の中に飛び込んでいった。
――――。
「う……重いぞ、こりゃ」
「ああ。やっぱり、一度中身を抜くか」
男子社員が二人、スチール机を1台持ち上げようとして挫折。引き出しを外に引き抜こうとしていた。
中身を出せば、確かに重い机もかなり軽くなる。しかし俺に言わせれば、引き抜いた引き出しも結局は運ばなければならないため、机1台に何往復もしなければならない。そんなの、ただ面倒なだけだ。
俺は二人の前に進み出て、「任せろ」とだけ言うと、二人を机から離れさせた。
あとは俺の役目だ。引き抜きかけていた中身が一杯の引き出しを元通りに戻し、引き出しをガムテープで机に固定。更に椅子を卓上に逆さに載せる。ついでだから、横に積んであったバインダーも箱詰めのまま50冊ほど上に載せる。
そうしてから、俺はスチール机の端を両手で掴むと、ひょいっと軽く持ち上げ、そのまま悠然と室外の階段へと向かった。
俺の様子を横で見ていた二人は呆然としていたが、俺にとってはこの程度は重いうちに入らない。
*
事務所の壁にかかっている時計によると、只今、2時半を少し過ぎた頃。
机は4階の新事務所まで全て移し終わった。
結局、俺が一人で10脚は運んだ……いや、もっとだな。
最初のうちは、社員たちも一緒に机を運んでいたのだが、余りにも俺がぱっぱと上まで持っていく様子に呆れたのか、いつの間にか机の移動は俺に任せっきりになり、社員たちは戸棚やロッカーの中を埋めている書類の箱詰めに専念していた。
改めて事務所の中を見ると、がらんどうのフロアの壁際のあちらこちらに、段ボール箱がうず高く積まれている。
「……次は、あれだな」
そばにいた社員に一応確認を取り、俺は段ボールの山に近付いた。
「すぅ……すぅ……」
……何で段ボールの向こう側から、何やら人の声、というか寝息が聞こえてくるんだ?
俺は箱の山に手をかけ、一気に3箱持ち上げた。すると――。
「すぅ……すぅ……」
取り上げた箱の向こうに、女子社員が一人、壁にもたれかかって寝息を立てておりました。
「あーっ、千彰(ちあき)ったら、こんな所に!」
目ざとく発見した別の女子社員が駆け付け、“眠り姫”の肩を両手で乱暴に揺り動かす。
「すぅ……」
しかし、彼女は一向に目を覚まさない。
「こらーっ! 千彰、起きろーっ!」
ちなみに、俺は大箱三つを持ち上げたまま、そばでじーっと突っ立っている。はたから見れば間抜けな光景だが、箱を降ろすタイミングを逸してしまったのだから、しょうがない。
「う……うーん……」
どうやら、目を覚ましたようだ。
「あ、西郷さん……」
「おはようございます、千彰さん」
皮肉を込めて言葉を返す、(恐らくは)先輩社員。しかし――。
「西郷さん、もう昼過ぎですから『おはよう』じゃありませんよ」
“眠り姫”のピント外れな言葉に、彼女はため息をつくしかなかった。
「……はあっ、天然のあんたに皮肉を言った私が馬鹿だったわ」
「はい?」
“眠り姫”は、全然分かってないようだった。
「……って、和んでる場合じゃないって。千彰、社長が捜してたわよ」
「社長が……ですか?」
「そう。まだ処理が済んでない伝票が――」
と、そこへ、
「おー、いたいた。小野阪(おのさか)君!」
と、社長がこちらに駆け付けてきた。それも、大量の文書を両手に積み上げて。
「あっ、社長」
社長を前に、やっと小野阪さんがゆっくりと立ち上がった。
「うっかりしてたよ。この伝票を今日中に処理しないと、明日の業務に間に合わなくなるんだ。引越しの方は他に任せて、君は4階でこれを片付けてくれ」
社長さん……俺が言うのも何だが、その30センチほどもある伝票の山を「今日中」にですか。
「はい、かしこまりました」
しかし彼女は、いともあっさりとそう返事する。
「――おっ、ちょうどいい。便利屋君」
「……はい」
社長に呼ばれたのを幸いに、抱えていた段ボール3箱を降ろす。
「4階に上がって、小野阪君の席のセッティングを手伝ってやってくれ。ついでに、これも」
そう言って、社長は山積みの伝票を俺にドンと渡した。
――――。
まだ机しかなかった4階に、先ほどの伝票の山と、眠り姫――小野阪さんが使っている電話機とパソコンが運び込まれる。もちろん、運んだのは俺。
というか……運ぶことしか、俺にする事はなかった。
「はい、プリンタはこの位置で結構です」
「…………」
俺が周辺機器の最後、プリンタを席まで持ってきた時には、既に彼女はパソコンの配線をほとんど済ませ、あとはプリンタを繋ぐだけの状態になっていた。
どうせ俺が全部やるんだろうな、と思っていたから、これは予想外である。
「ありがとうございます。便利屋さん」
セッティングが終わり、小野阪さんは俺に丁寧にお辞儀をした。
「どうも……」
俺もお辞儀を返す。
彼女は、のんびりしているようで、仕事は案外てきぱきとしてて――。
「ところで、『便利屋さん』って珍しいお名前ですね。余りお会いしてないと思うんですが、新人の方でしょうか?」
「…………」
――物の見事に“天然”だった。
*
「よーっし、作業完了! みんな、お茶にするぞー」
がらんどうになった「元事務所」の時計の針が4時過ぎを指した頃、年長の社員の一人が部屋にいる全員に向かって大声を上げた。
それを聞いた男子社員一同、待ってましたと言わんばかりに、壁際に用意してあったビニールシートを部屋のど真ん中に広げた。女子社員は給湯室に走り、シートの上に座った社員らにお茶やお菓子を振舞う。
そして、社員たちに混じって俺も座ったところ、「どうぞ、船島さん」と、小野阪さんが俺にお茶を渡してくれた。
ちなみに、彼女の先ほどの“勘違い”は、即座に訂正している。もっとも、そのために名刺を交換することになるとは思わなかったが。
「皆さんの仕事が終わるまでに、こちらも伝票処理が終わって良かったです」
……俺は、たった1時間で、彼女があの伝票の山を処理できるとは思いませんでした。
――――。
「――まあ、それじゃ大輔さん、私の先輩だったんですか?」
俺の横の田中や、俺の前に座った小野阪さんと話が進むうちに、俺が古那賀大学を5年前に卒業したと言った途端、小野阪さんがびっくりしたようにそう答えた。
「小野阪さんも……?」
「はい。昨年、商学部を卒業して、こちらに入社したんです。ということは……大輔さんは私の4年先輩ということになりますね」
ちなみに、俺は工学部だ。
「小野阪を甘く見ないほうがいいぞ。こと事務処理にかけては、彼女は我が社筆頭だからな」
田中がそう言って、彼女を褒める。
「田中さん、それは言いすぎですよ」
彼女はそう謙遜するが、その実力の片鱗は、先ほどこの目で見させて頂いた。
小野阪さんの事務処理能力は、「見かけに反しててきぱき」などというレベルを、遥かに凌駕(りょうが)しているのは間違いない。
それにしても――初対面の人、それも男性で、なおかつ口下手な俺を相手に、苗字の「船島」ではなく「大輔さん」と下の名で呼んで、まるで旧知の仲であるかのようにざっくばらんに話が出来る彼女は、やはり普通ではないと思う。
しかし、目の前の彼女――小野阪さんを見ると、むしろ彼女にとってはそれが普通であるように思えてしまう。そういう雰囲気を、彼女はまとっていた。
*
――『HELPS』初仕事から、1週間が過ぎた。
今日まで引き受けた依頼、わずか3件。
そして俺は、事務所に居座って電話の前で仕事を待っているだけでは、やはり駄目な事を実感した。
これからは、事務所の近所の家々を自ら訪問し、何か出来る事はないかと御用聞きをするようにしよう。
超無口である俺が営業みたいなことをするのは、本当は気が進まないのだが、そんなことを言ってはいられない。
*
――『HELPS』開業から、1カ月後。
やってみるものである。
地道な御用聞き回りが効き、それなりに依頼を受けられるようになった。
そうした依頼を着実にこなし、実績を少しずつ積み上げていけば、やがてはHELPSの存在が主婦同士、口づてで知られるようになるだろう。
*
――そして、『HELPS』開業から早2カ月。
今では特に御用聞きに回らなくても、日に2、3件は依頼を受けられるほどになった。
開業当初はどうなることかと思ったが、取りあえずは順調といったところか。
ただ、これ以上仕事が増えてくると、さすがに俺一人では厳しいのも事実だ。
いや。ただ入ってくる依頼をこなすだけなら、まだ俺一人でも充分に対応できる範囲だ。しかし、俺が仕事をしている間は事務所は空っぽだから、入ってくる依頼を受けることが出来なくなる。受けるだけなら留守電でも受けられるが、結局は改めて俺自身が確認を取ることになるのだから、手間がかかるのは同じである。
せめて、専従の事務員がいてくれれば、随分と楽になるのだが……。
――などと、今日の仕事を終え、事務所の応接室のソファーでくつろいでいた俺が、事務員募集の広告でも出そうかと考えていた時だった。
「済みませ~ん……」
事務所の入口の方から、そんな女性の声が聞こえた。
振り向くと、入口のドアを少しだけ開けてこちらをのぞき込んでいる、カーディガン姿の若い女性の姿が見えた。
「……何でしょうか」
俺は立ち上がり、入口に向かう。
「良かった~。大輔さん、お久しぶりです」
俺の姿を認めた彼女が、そう俺にあいさつした。
「…………?」
「○○○○にいた小野阪です。お忘れですか?」
……思い出した。あの「最初の依頼」の仕事先にいた、あの小野阪さんだ。
そして、俺はふと思った。事務処理に長けた彼女がうちに来てくれたら……。
いやいや、彼女は田中の勤務先の、れっきとした正社員だ。そんな彼女を強引に引き抜いたら、田中との信頼関係が――。
「えーっと……こちら、便利屋さんですよね」
……おっと、考え事をしている場合ではない。今は目の前の彼女のことに専念しよう。
「……そうですが」
「便利屋さんってことは、何でも屋さんですよね」
「…………」
無言でうなずく。まあ、確かにそうとも言うし。
というか、「何でも屋さん」と言われると、まるでよろず屋かコンビニだな。
「だったら、どんな依頼でも引き受けてくれますよね」
「……ええ」
法律に触れるような事以外なら、何でも受ける。それは事実だ。
「それじゃ……」
そして彼女は、深呼吸しながら少し間を取ったあと――
「私を、買って下さいっ!」
――と、とんでもない事を言い放った。と同時に、
ドドドドーン!
と、事務所が大きく揺れた。まるでギャグ漫画のような展開。
「……地震?」
「……地震、ですねえ」
――って、呑気に会話している場合じゃないだろ。
小野阪さん……今さっき、何とおっしゃった……???
「……あ、あのう」
「……そうでした! 地震のことはどうでもいいんです」
それだけ言うと、彼女は手元のバッグの中から1通の封筒を取り出した。
「…………?」
「これを、読んで下さい」
渡された封筒を受け取る。封筒の裏には「田中」とあった。
俺は早速、中の便せんに目を通した。
拝啓 船島大輔殿
これを読んでいるということは、まだ小野寺千彰さんもそこにいると思う。
実は船島に折り入って頼みがある。彼女――小野寺さんを君の事務所に雇ってもらいたい。
というより、彼女をこちらから避難させたいので、どうか引き取って欲しい。
君も実際に彼女に会って承知していると思うが、彼女の事務処理能力は非常に優秀であり、それ故、社長や上司の評価は高い。
その反面、慢性の居眠り症(?)や、重度の天然ボケのせいもあって、同僚・先輩の受けはすこぶる悪い。そのくせ社内での評価は高いため、日常的に彼女はイジメの標的にされているのが現実だ。
そう言えば、大体分かるだろう。
俺たちは高校時分、大事な友人を一人、自殺という形で突然失った。彼も日常的にイジメを受けていたが、俺たちは恥ずかしながら、見て見ぬ振りをすることしか出来なかった。
断っておくが、俺と彼女には同僚以上の関係はない。ただ、彼女を救いたいだけだ。
なお、この件については、こちらの社長の了解を得ていることを申し添えておく。
君なら、表向き「一介のサラリーマン」に過ぎない俺が、なぜこのような行動を取れるか、理解できるだろう。
そして、先日の依頼「引越しの助っ人」が、実は君と彼女を引き合わせるための口実だったことも、察しがついたことと思う。
もちろん、彼女の扱いに関する最終的な判断は君に委ねる。
しかし、彼女の力は『HELPS』においても貴重な戦力になることは、断言していい。
こちらの方は、心配無用だ。
社長は、これまで小野阪さんが処理してた分を、彼女をいじめてた連中に全部回すと言って笑っていた。もちろん、サービス残業込みで。
まあ、自業自得だな。
なるほど。そういう話か。
びっくりした。俺はてっきり、彼女が俺に春を売りに……いやいや。
「……駄目、ですか?」
駄目なもんか。そういうことなら、拒否する理由はない。むしろ大歓迎だ。
俺は意を決して、滅多に言わない長台詞を発した。
「……取りあえず、さっきの地震の後片付けを手伝ってくれないか。うちでの最初の仕事として」
そう。さっきの揺れで、戸棚にしまってあった書類が床に散らばっていた。
「大輔さん、それでは……」
こちらもいろいろと準備があるから、正式な入社日は来週ということでいいだろう。
「……こちらこそ、よろしく頼む」
「……はいっ!」
――と、のちに『HELPS』を文字通り切り盛りすることになる俺と小野阪さんが運命的再会を果たしていた頃。
「あ~んっ!! こんな辺境星でどうして攻撃なんか……って、マスター、返事して下さいよ~!」
地球の某所に不時着した宇宙船の中で、一人のねこみみ宇宙人が慌てふためいていたのだが、それを俺が知ったのは後日の事である。
――完――
MooLing SS世界では、『わーきんぐDAYS』、『てんあく』、『がくパラ!!』の各作品を一つの世界設定の下に統合。この統合設定に基づいて執筆される(予定の)二次創作シリーズを『Suplemento de «Working Days» (スプレメント・デ・わーきんぐDAYS)』、略して『すぷわで』と命名します。(ちなみに、これはエスペラント語で「わーきんぐDAYS補遺」という意味)
ただしシリーズといっても、基本的には全て1話完結。時系列もバラバラになる予定です。また、HELPSの面々が常に登場するとは限りません。
なお、『ひとがたルイン』のあの夫婦は上記作品に絡むため、今後登場する可能性があります。
そういう意味では『夏神楽』・『鬼神楽』も絡んできて不思議はないのですが、この2作品に絡む設定は、『すぷわで』では一切無視します。両作品ともMooLingが持っていないので(今後もプレイ予定全く無し)。
*
なお、あらかじめお断り。
MooLing SSは、原作の公式・公開設定に完全に準拠するというのが大原則なのですが、『すぷわで』では、意図的に設定を一部改変しています。
例えば、本作の大輔。
原作での大輔は本当に無口、というか文字通り一っ言も喋らない(それ故、由宇子がいないと周りとのコミュニケーションが全く成り立たない)のですが、それでは、由宇子が来るまで、一体、大輔はどうやって営業をしていたのか?――どう考えても無理がありすぎるので、「口数が少なく、本当に必要最小限の台詞しか発しない」レベルに改変しました。そうしないと、話が進まないから。
あと、和宏は「医学部」ではなく「薬学部」。これは決定事項です。実家が薬屋で、その跡継ぎという設定。
原作が明らかに医学部の特殊性を無視している(本当は6年制なのに、4年制としか解釈できない描写があるなど)上、医学部にこだわると、千彰との結婚まで何年かかるか分からないので(5~6年次は院内研修や国家試験でほとんど暇無し。卒業後も当分は研修医だし)。
それから、『がくパラ!!』の青児たち。
『すぷわで』では、千草はもちろん、紅葉ら全ヒロインとも結婚させます。先に言ってしまいますが、本作冒頭で触れた「婚姻自由化法」は、その伏線です。もちろん、胡桃沢家や沖田家も。
あと、由宇子や昇一たちについても大事な変更があるのですが、これは将来の登場時に触れることにします。
*
さて、本作のことですが。
正直申し上げて、とても満足できるような完成度ではありません。しかし、これを正式公開しないことには先に進めませんので(『Kanon五重奏』もまだ途上ですし)、ここで区切りとします。そのため、将来大幅に改稿する可能性があることだけ、一言申し添えておきます。