『リリカルなのは』妄想SS一覧


何はともあれ、これを――

『リリカルなのは』調査報告

  1. 言葉の問題 (2013-08-13初出, 2018-11-19修正)
  2. 魔導師ランク (2013-08-14初出, 2019-04-15修正)
  3. 1期・A's製作秘話 (2013-08-17初出, 2019-07-06修正)
  4. StrikerS製作“悲”話 (2013-08-20初出, 2019-04-19修正)
  5. 無限書庫 (2013-08-23初出, 2018-06-16修正)
  6. 本局武装隊 (2013-08-26初出, 2015-12-18修正)
  7. 時空管理局前史 (2013-08-29初出, 2019-04-30修正)
  8. 小ネタいろいろ その1 (2013-08-30初出, 2018-11-03修正)
  9. 小ネタいろいろ その2 (2013-09-05初出)
  10. 本当はこうなるはずだったStrikerS (2013-09-06初出, 2019-04-13修正)
  11. 聖王教会 (2013-09-10初出)
  12. ヴィータが語る、A's第1話の裏話 (2013-12-31初出, 2018-06-16修正)
  13. シグナムは、ゼストを殺したのか? (2014-09-26, 2014-10-14修正)
  14. 小ネタいろいろ その3 (2017-08-22初出, 2019-07-06修正)
  15. 時空管理局と地球① (2018-05-05初出)
  16. 時空管理局と地球② (2018-05-05初出)
  17. 時空管理局と地球③ (2018-05-08初出, 2019-07-06修正)
  18. 時空管理局と地球④ (2018-05-10初出, 2018-10-12修正)
  19. 時空管理局と「とある世界」① (2018-05-11初出, 2018-07-28修正)
  20. 時空管理局と「とある世界」② (2018-05-15初出, 2019-02-06修正)
  21. 時空管理局と「とある世界」③ (2018-05-19初出, 2018-11-03修正)

つぶやきSS


リリなのの「公式設定」に対する、MooLingのスタンス

MooLingは、これまで二次創作活動において、原作自身における描写や、各種媒体で公表された「公式設定」を極力尊重し、「致命的な矛盾がない限り、原作中の描写は全て事実と見なす」というルールを、自らに課してきました。

しかしながら、『リリなの』シリーズに関しては、その立場を採りません。というか、採れません

そう言わざるを得ないほど、『リリなの』は描写・設定に関して、

など、余りにもアラが目立ちます

このためMooLingは、あの『マクロス』シリーズが採用した世界観、
「我々が知る作品群は全て、当の作品世界において『史実を元に作られたTVドラマ・映画等の創作作品』であり、たとえ本編といえども『100%事実』ではない」
を、『リリなの』において全面的に採用。

いわゆる「公式設定」よりも、「MooLing自身が納得できる解釈」を完全に優先させます。

また、公式にはTV版(1期~ViVid Strike!、漫画版ViVid・Forceを含む)と劇場版(1st~Detonation)は、「パラレルワールドであり、それぞれが固有の史実」(言い換えると、DetonationからStrikerSへは直接繋がらない)ですが、MooLingは、このスタンスを取りません。両者の設定・ストーリーの食い違いは、あくまで「マクロス」設定で通します。

辛らつな事を言ってますが、これは全て、ひとえに『リリなの』を愛しているが故です。

だからこそ、個々の描写に対する「揚げ足取り」や、(突っ込みどころ満載の)設定集の絶対視などはせず、作品自体が伝えるメッセージ、そして、そこを流れる「空気」を、解釈において優先したいだけです。

例えば、時空管理局が一貫して「正義の、かつ真っ当な組織」と位置付けられているのは明白であり(レジアスと三脳が腐っていただけ)、それを無視した悪意の解釈は一切却下。(人間の組織に完全無欠などあり得ないのだから、いかに真っ当な組織でも多少の欠点はあって当然)

また、「過去」の事件に関して(本編外で)見られる「裁判の認定した事実が真実と異なる」との設定も、明らかに設定変更やミスをごまかすための後付けであり、実際にはヴェロッサのような存在もいる中、「管理世界の裁判が事実認定を誤るとは考えられない」ため、全面的に拒否します。

なお、本ページでいう「地球」は、原則として「作品世界における、近未来の第97管理外世界・地球」を指します。そうでないと、新暦65年=西暦2005年(有名な裏設定「新暦=皇紀の下2桁」より)の10年後を描いたStSが、「現実の地球」で2007年に放送されたことを説明できません(ViVidシリーズ・Forceも同様)。

具体的には、下記の通り。

TV版1期・A'sは、「管理世界で製作されたTVドラマを、地球向けに翻訳・再編集したもの」。

概ね史実通りではあるが、事件に直接関係しない事実については、基本的に省略・簡略化されている(特に、管理局や管理世界に関して)。

StrikerSは、「前作に関わった地球側スタッフが、機動六課とJS事件を独自に取材して製作したもの」。

管理局に対する理解が決定的に不足していたこともあり、特に第1~9話は脚色・ねつ造のオンパレード。さすがに当事者や管理局も黙って見過ごすわけにはいかなくなり、第10話からは管理局が直接製作に関与。以後は史実にのっとって製作されたが、それでも前半とのつじつま合わせや作劇優先の脚色など、必ずしも史実通りとは言いがたい。

※ 実際の解釈では、6話以前はあくまで「初期設定」、7〜9話は「全面破棄・欠番」、そして10話以降のみを「真の本編」として扱う。

SSX・ViVidシリーズは、「地球側による独自製作」。

ただし、StrikerSで懲りた管理局が製作に積極的に関与しており、こちらは概ね史実通り。

もっともViVidでは、明らかに「日本人が読むことを前提にした」脚色が目立つ(特にミカヤとハリー)。

Forceは、「実際の事件――をモチーフにした、地球側の創作」。

実際のフッケバインはあそこまで強くないし、JS事件での戦訓を基に鍛えられた武装局員で充分通用した。「AEC武装」として登場したフォートレス等も、実際にはA'sの頃には既に開発が始まっており、本事件とは関係がない。

結局、戦艇フッケバインを八神司令自らヘイムダルで落とし、フッケたちはあっさり御用。ウイルスをばらまいた張本人・ハーディスも逮捕され、事件は六課を再結成するまでもなく終わった。

(それなのに「戦いはまだ続く」とやったばっかりに、結局、連載は行き詰まってしまう……)

A's PORTABLE(BoA・GOD)は、「イリス事件をモチーフにした、地球側の創作」。

もちろん管理世界ではリアルタイムで報じられたが、本事件では地球に少なからず被害が出たことから、地球側スタッフは「事件をありのまま公にする」ことをためらい、「現実にあった出来事」だと分からないよう、意図的かつ大幅に改変・脚色された。

そして、事件から10年以上がたち、劇場版Reflection・Detonationでようやく、真相の公表に踏み切ることになる。

劇場版は、「地球での放映を前提にした、地球側と管理世界側との共同製作」。

初期段階から管理局が全面的に協力しており、尺の都合によるカットや多少のつじつま合わせはあるものの、概ね史実通り。

※ 実際の解釈では、1期は「劇場版をベースに、TV版で補完」、A'sは「TV版をベースに、劇場版で補完」したものを史実と見なす。

TV版のサウンドステージ(SS)・漫画版は、「地球側による独自製作」。

一応管理局が目を通しているため「全くの虚偽」はないが、誤解による描写ミスも散見され、これを「ありのまま史実」と見なすと痛い目に合う。

例えば、StrikerS SS01で描かれた「事件」も、本当は、六課メンバーの慰安旅行(2月、地球・海鳴)中に実施された「サプライズ演習」である。

その他のSS・DVD/BDコメンタリーは、つまるところ「ただの楽屋オチ」。

裏設定に関する「参考資料」としての価値はあるが、これを根拠に「劇中劇」を云々するのは完全に誤り。

小説版1期は、管理局が全く関知していない、完全に「地球側の二次創作」。

A's以降で覆された描写も多く、今となっては、むしろ公式設定から破棄すべき存在。

○ 「魔法(魔導)辞典」や、その他のファンブック・公式設定集等は、いずれも「地球側が憶測交じりで執筆したもの」。

その名目に反し、本編描写のつじつま合わせとしか思えない後付け設定が目立ち、信頼度という点では完全に「参考資料」の域を出ない。

INNOCENT(S)は……さすがに論外ですね。「管理局が局員をモデルに製作したゲーム」であり、本編とは完全にパラレルワールド。

調査報告(1) 言葉の問題

この種の作品では「お約束」、と言ってしまえばそれまでだが、それでも突っ込まずにはおれない、
「地球人と異世界人とで、何で言葉が普通に通じてんだ!?」
という、お話。


もちろん、管理局員たる魔導師なら「翻訳魔法」が普通に使えるし、管理世界では「標準ミッドチルダ語 ⇔ 母語」仕様の翻訳機が一般人向けに開発されているため、言葉の壁はないに等しい。

ただし、ミッド式・近代ベルカ式魔法を扱うにはミッド語、古代ベルカ式魔法ならベルカ語(最低 古代後期、出来れば中期以降)を直接話せる必要がある。

また、翻訳魔法は口頭の会話にのみ有効であり、文書には通用しない(故に、古代ベルカ語の解読には利用できない)。

以上を前提に、各人の言語事情を考察する。

[1期・A's]

なのは――母語はもちろん日本語。RHとの契約時にミッド語の知識を注入されたため、以後、管理世界の人間とはミッド語で直接会話できる。

ミッド文字は、フェイトとの文通(日本語 ⇔ ミッド語の文書翻訳機を、エイミィが開発した)を通して覚えた。

ユーノ――母語はミッド語。なのはとは、初対面時のみ翻訳魔法、以後はミッド語。

最初の「呼びかけ」は、言語を超越した「高級念話」。

フェイト――母語はミッド語。海鳴住民(なのは除く)とは翻訳魔法。

のちに、日本語の文字(小学生レベル)をなのはとの文通を通して習得。小卒時には直接日本語で会話できるほどに。

はやて――母語は日本語。リインフォースとのユニゾン時に、ミッド語とベルカ語を注入された。

ヴォルケンリッター・リインフォース――母語は古代ベルカ語だが、代々の主との契約時に「主の母語」を注入される。よって、過去の契約を通じてミッド語を知っており、そして今回、はやてとの契約により日本語を知った。

翻訳魔法を介してないため、普通に新聞も読める。

アルフ・クロノ等、その他の魔導師――当然ミッド語。地球の一般人とは翻訳魔法。

[Reflection・Detonation]

イリス――母語はエルトリア語。テラフォーミングユニットの能力の一つに翻訳魔法と同等の言語能力があり、ユーリを追って調査した過程で、「現地の言葉」=日本語を獲得した。

群体イリス(マクスウェル含む)も同様だが、イリスとの意思疎通が出来れば充分なため、彼らはエルトリア語しか知らない。

アミタ・キリエ――母語はエルトリア語。イリスと同様、彼女らも「フォーミュラの力」による言語習得が可能で、地球に来る前に、イリスが獲得した日本語の知識を取り込んだ。

ディアーチェ・シュテル・レヴィ――召喚時に、イリスの持つエルトリア語に加え、それぞれのオリジナルの持つ魔法と知識(言語含む)を注入された。

ユーリ――母語は古代ベルカ語。翻訳魔法も使えるが、夜天の書に蒐集されていた「言語習得魔法」により、イリスと接触した際に彼女からエルトリア語を直接獲得した(あの場で「未知の言語」に対応するには、これしかない)。

なのはたちと管理局員――アミタと接触した際に、彼女からエルトリア語の知識を得ており、以後は(翻訳魔法を介して)エルトリア語が通じる。

[StrikerS以降]

これは単純明快。管理世界では、あまねくミッド語が通じるため、基本ミッド語オンリー。

ただし、高町家・八神家は、プライベートな場では極力日本語を使うようにしている。ヴィヴィオやアギトも、当初は翻訳魔法に頼っていたが、すぐに日本語を覚えた。

なお、作中ではデバイスのミッド語・ベルカ語が英語・独語で表現されているが、これは3期以降でミッド人が「日本語を話している」のと同様、あくまで(地球の)視聴者向けの「吹き替え」であり、本当にミッド語=英語、ベルカ語=独語なわけではない。

つまり、たとえ英語ネイティブなアリサでも、ミッド語は理解できない。

StrikerS SS01では、フォワード陣の方が翻訳魔法で日本語に合わせてくれたが、管理世界(本局含む)では翻訳機が手放せない。

調査報告(2) 魔導師ランク

時空管理局が「魔導師ランク」と「魔力量クラス」の認定を行う目的は、管理局の活動を支える「戦闘魔導師の発掘と育成」である。従って、その認定の基準は、あくまで「戦闘魔導師としての力量」であり、その意味において、StrikerSが「達成可能任務の難易度」を強調したことは、必ずしも誤りではない。

しかしながら、その認定の対象となる「戦闘スキル」には、攻撃のみならず、防御や支援に役立つスキルなども多く含まれるため、実際には戦闘魔導師としての力量の高さは、そのまま魔導師一般としての力を量る目安として充分に役立つ。このことから管理局は、局員に限らず、一般市民に対してもランク・クラスの認定を幅広く行っている。

ちなみに、「魔導師ランク」が、戦闘魔導師としての現時点の力量を示す尺度であるのに対し、「魔力量クラス」は、戦闘魔導師としての先天的資質を示す尺度であり、「普通に修練を積めば、相当する魔導師ランクまで上がれる」という意味である。

なお、これらはあくまでも基本尺度であり、時には平幕が横綱に勝つように、ランクが上だから確実に勝てるというものではないが、だからといって「戦闘における強さとは直接の関わりがない」とするのは言いすぎである。

そもそも、漫画版StrikerS第11話に登場する、コーラン学長がなのは・フェイトに勝った件は、「自分より強い相手であっても、『相手より強い部分』で戦えば勝てる」という実例であり、別に学長が本当の意味で「強かった」わけではない。

(というか、「歴戦のAA」が「AAAだが新人」に勝つことが、そんなにおかしなことか?)

ところで、当初、管理局が認定していた魔導師ランクは、今日いうところの「陸戦ランク」しかなかった。

しかしながら、空戦スキルの高さが、必ずしも戦闘スキル全体の高さとは一致しない――正確には、空戦スキルの高い者は、総じて他の戦闘スキルも高いが、逆は必ずしもそうではない――ことが分かってきたことから、のちに空戦魔導士に対しては、「空戦ランク」として別途認定されるようになった。

なお、認定試験が存在するのは、陸戦・空戦のAAAまで。Sから上は「試験による画一的判定が不可能な領域」であり、提督・将官クラスの推薦を受け判定会議を招集、実力・スキルや過去の実績を総合的に判断して決定する。

また、そもそも「魔法運用能力が極めて高い」魔導師は、「どんな魔法スキルでも高度に扱える」ことから、このような魔導師に対しては、スキルごとにレベルを量ること自体が無意味であり、やはり試験ではなく判定会議にかけられる。これにより認定されるのが「総合ランク」である。

(それ以外のランク種別は、本編中にも言及がなく、恐らく存在しない。治癒魔法などの「医療スキル」は、実用レベルで扱える使い手が極めて少ない――現に本編中、治癒魔法はユーノやシャマルなどの上級魔導師が個別に行っているだけで、一般的な医療現場の描写では見られない――ことから、あくまでレアスキルとしての認定対象であり、ランク付けには馴染まない)

以上を踏まえ、個々のランクを見ていくことにする。

F ―― 単に「リンカーコアの存在を外部から確認できる」だけ。

試験はなく、医師の診断書のみで良い。

E ―― 「取りあえず、魔法が使えます」というレベル。

試験官の前で実演できれば、それで合格。

以上は、戦闘魔導師としては無意味だが、一般的な魔導師なら最初はEかFで当たり前。

D ―― 陸士訓練校卒業~陸士隊新人レベル。

逆に言えば、訓練校で年限一杯頑張ってDにも上がれないようなら、戦闘魔導師としては諦めるしかない。

C ―― 陸士隊なら主力。空戦なら偵察・対地支援が務まる程度。

戦闘職の管理局員といえば大抵このレベルであり、ここからBへの昇格が最初の壁。

B ―― ここまで上がれれば、充分にエリート級。

精鋭部隊である本局武装隊(武装局員)や首都防衛隊に入るには、B以上が絶対条件。また、空戦同士のドッグファイトは、空戦B以上でなければ無理。

A ―― 武装隊チームリーダー格であり、困難な単独任務さえこなせるレベル。

武装局員の5人に一人。

AA ―― 秀才魔導師レベル。一般的な魔導師が訓練に訓練を重ねて、ようやくたどり着ける領域。

精鋭揃󠄀いの武装隊でさえ、全体の5%弱。

一般の魔導師にとっては、ここが現実的な目標の上限であり、ここから先はそもそも次元が違う。

今や超エリートと言っていい六課フォワード陣でさえ、果たして将来、ここを超えられるかどうか。

なお、ランクAA+以上が、いわゆる「ニアS」「オーバーS」と呼ばれる「管理局の顔」であり、一般にもプロフィールが公開される。

AAA ―― 秀才の域を超えた、天才魔導師レベル。

武装隊でも1%に満たない。

管理局によるランク認定が始まった頃は、ここまでしかランクがなかった。

しかし、若き日のミゼット提督が、その壁を破る。

S ―― 天才の域をもしのぐ、超人魔導師レベル。

もちろん、いくら管理局でも、そんなスーパーヒーロー級がゴロゴロいるわけがない。現状、なのは・フェイト・シグナムを含め、精々70名程度。

SS ―― もはや「歴史に残る、稀代の大魔導師」の領域。

陸戦・空戦での認定例はなく、管理局史上、認定されたのは総合のみで、わずか7人。そして現役では目下、八神はやて ただ一人。

SSS ―― 「伝説のベルカの王」の域を想定して設定されたが、過去の認定例はゼロ。

調査報告(3) 1期・A's製作秘話

時は新暦69年。

ミッドチルダでは、管理外世界からやって来た一人の少女を巡り、大フィーバーが巻き起こっていた。

少女の名は「ナノハ・タカマチ」。史上最年少、わずか13歳にしてエースの証し・戦技教導官に抜てきされた、天才魔導師である。しかも出身世界は、魔法文明ゼロ、それでいて科学文明は管理世界比で「上の中」程度という「非常識」ぶりでミッドでは逆に有名だった、第97管理外世界「地球」である。これで話題にならないはずがない。

(元来ミッドでは、「魔法のない世界では、科学文明も良くて古代レベル」が常識であった。そのため、新暦6年に「地球」が発見された時は、その際の調査報告が、管理局内でも全く信用されなかったほどである)

当然、このフィーバーを黙って見ている、時空管理局ではない。

広報部では、なのはが魔法に目覚め、今日の道を歩む切っかけになった二つの事件、「PT事件」と「65年闇の書事件」を題材にしたTVドキュメンタリードラマ製作の企画が持ち上がった。

また、このドラマには、「夜天の書 最後の主」八神はやての潔白を、管理局として改めてアピールする意図もあった。闇の書事件裁判において、はやて本人は――地球住民であり、また、事件当時は管理世界市民ではなかったため――起訴されず、それ故に無罪判決を受けられなかった上、当のはやてが「わたしも主として、夜天の書と守護騎士の罪を共に償わなあかん」と、法廷の内外で道義的責任を度々口にしたことが、かえって世間の誤解を招く事態となっていたからである。

そして新暦71年。

最終回のラストシーン収録のために、なのは・フェイト・はやての3人(当時15歳)が自ら出演した、海鳴ロケも無事終了し、TVドラマ全26話は完成。全管理世界で放送され、好評を博した。

のちに、このTVドラマは地球に持ち込まれ、PT事件を扱った前半13話を翻訳・再編集した「あくまでフィクション」のTV作品として地球でも放送された。これが私たちが知る、『魔法少女リリカルなのは』である。

そして本作がヒットしたことにより、元々の後半13話をベースに、続編『魔法少女リリカルなのはA's』も作られ、これもヒットしたのは、皆さんもご存知の通り。

さて、話は変わるが。

先の海鳴ロケの2週間後に起こった空港火災で、なのはに救助された少女――スバルは、翌年の訓練校時代、寮で『リリなの』(の原版)のビデオを毎晩のように鑑賞していた。当時、寮内でスバルと同室だったティアナも、当然、付き合いで見せられることになる。

そして、「いくら何でも脚色しすぎ」と、全くビデオを信用しないティアナに、スバルは自分の経験から、「本当だって」と力説する日々が続いていた。

そんな中、なのは(16歳)本人が特別教導(泊まり込みで1週間)のために訓練校を訪問した。これが、なのはとティアナの「初めての出会い」である。

そして、その教導初日、ティアナは なのはの実力を、身をもって知ることとなる。

実はこの頃、ティアナは「強さ」に拘る余り、過剰な鍛錬と怪我を繰り返しており、訓練校内で伸び悩んでいた。

しかし、なのはが、ティアナ自身も気付いていなかった「真の資質」を見抜き、「相手より強い部分を生かす」やり方を説いたことで、ティアナはそれまでが嘘のように急成長していった。

そして最終的に、スバルとティアナは共に訓練校を首席で卒業し、その後、二人は陸士隊でも「力のスバル・技のティアナ」と並び称されるようになる。

そして、なのはもまた、ティアナを開眼させたことで、「おはなし」=コミュニケーションを重視する自分のやり方に自信を深めていった。

それまで教導官といえば、「ぐだぐだ言う暇があったら、模擬戦でぶっ倒せ」が主流で、教導隊に満ちていた、そんなエリート意識丸出しの高圧的な空気に、なのはは違和感を覚えていたのである。

※ StrikerS第7~9話は、脚本家がでっち上げた大嘘。第一、自分の才能や力も分からない魔導師が、訓練校を首席で卒業し、それからわずか2年で陸戦ランクB(エリート級)に上がるなど、絶対にありえない。

調査報告(4) StrikerS製作“悲”話

新暦76年。

なのはを初め、ひと時羽を休めていた元機動六課の面々に、思わぬ話が舞い込んできた。

1期・A'sで味を占めた地球側の製作スタッフが、一体どこから嗅ぎ付けてきたのか。JS事件を題材にしたTVドラマを作りたいので、そのための資料が欲しいと言ってきたのである。

しかし、元々ミッドチルダで作られたTVドラマの翻訳・再編集版だった前作と違い、今回はオリジナルがない。

加えて、JS事件自体、この時点では未だ解明できていない部分が多く、事件全体の真相が明らかになるのは、むしろこれからのことであった。

当然、管理局(窓口は広報部)は話を渋ったが、地球側は諦めない。

というか、どうも地球側には「どうせ表向きはフィクション」と、妙にお気楽な雰囲気を感じたと、対応した広報部員はのちに語っている。

更に地球側は、「完成したら、管理局に格安で“逆輸出”する」とまで言い出した。JS事件のTVドラマ化は広報部でも「いずれは」と考えていたので、結局広報部は、この「甘言」に乗ってしまったようである。

こうして『魔法少女リリカルなのはStrikerS』の製作は、リクエストに応じて管理局が提供した資料を基に、完全に地球側主導で始められた。

はやてはそれを聞き、「管理世界のことも知らない人間に任せて、本当に大丈夫やろか」と危惧していたが――。

不幸にもというか、案の定というか、その危惧は当たってしまう。

時空管理局は、大規模とはいえ本質はあくまで「警察」である。

しかし、前作のアースラのイメージから「SFによくある、地球連邦軍の類い」と思い込んでいた地球側は、完全にそのイメージのまま突っ走ってしまった。

創作された訓練シーンは、脚本家の趣味も手伝って、「軍事教練+スポ魂」という いびつな代物。

しかも、「前半は、新人たちの成長を描きたい」という理由で、実際には六課結成の前年の出来事だった「エリキャロの出会いとキャロの覚醒」を、六課内での事として強引にシナリオに組み込んでしまう。

(そもそも、エリオとキャロが「よもやの成長」を遂げたことで、本音では危険な「夢部隊」に入れたくなかった里親フェイトも、二人の希望を認めざるを得なくなった――というのが、エリキャロ六課入りの真相である)

そしてとうとう、「ティアナとヴォルケンズが目立っていない」という、たったそれだけの理由で、あの第7~9話を、事実を完全に無視してでっち上げるという暴挙を犯してしまった。

(どうも、3年前の「ティアナと なのはの出会い」は、提供された資料にはなかったらしい)

なのはなど旧六課隊長陣も、第7~9話の内容を知り、さすがに堪忍袋の緒が切れたようで、好き勝手に描く地球側と、それを黙認する広報部に対し、彼女らが厳重に抗議する事態にまで発展した。

結局、当初は13話を予定していた「成長編」は、第9話をもって打ち切りになった。

それに伴い、事件本編の開始は第10話に前倒しされ、更にこれ以降、広報部が直接製作に関与するようになる。

確かにホテル・アグスタ襲撃は、本当にあった出来事である。しかし、ミッド地上本部(というかレジアス)の横やりにより、実際には六課は、事前警備はおろか、襲撃時の緊急出動さえすることが出来なかったのだ。

(実はこの事件は、スカリエッティに「聖王のレリック」が秘密裏に渡るよう、レジアスと三脳が裏で仕組んだものであり、レジアスが六課を妨害したのも当然であった。

「ジュエルシードの出品」は、本局・六課の目を欺くためのカモフラージュであり、スカ本人は「使い勝手の悪い」ジュエルシードには何の興味もなかった。第5話の「ガジェットにジュエルシードが組み込まれていた」描写は、第7話の伏線として脚本家がでっち上げた創作である)

第9話の「鉄拳制裁」も然り。「魔法発祥の地」ミッドでは物理的な体罰は完全に犯罪であり、あれは日本の感覚で言えば「指導と称してナイフをぶっ刺す」に等しい。もちろん刑務所直行である。

そして何より、本当に第8・9話のようなスキャンダルが起こったのなら、レジアスが仕掛けた査察に引っかからないわけがないではないか。

第10話から確かに軌道修正されたが、今更前半9話を取り消すことは出来ないため、事実から外れた つじつま合わせは、その後も続いてしまうことになった。

特にひどかったのが、闇の書事件に関わる描写である。

地球側は、はやての言う「主としての責任」が、「法的責任」とは全く別の次元の話であることを、かけらも理解していなかった。

そして作中で、レジアスとオーリスに「はやては前科者」と言わせてしまう(もちろん嘘)。

そもそもミッドでもA's(の原版)は放送されており、はやてが無実なのは、レジアスも承知していた。ただレジアスは、40年かけてつかんだ今の地位を「19の小娘」に奪われることを、無駄に恐れていただけである。(分不相応な出世は、レジアスをさい疑心の塊にしていた)

地球側が勘違いに気が付いた時には、既に放送済みで、もはや手遅れだった。そして、DVD添付の「魔法辞典」で更に、後付け設定という名の嘘を重ねる羽目になる。

そんなこんなの末、全26話はどうにか完成したものの、こんなデタラメ・名誉棄損ものを管理世界で放送できるわけがない。当然、当初の“逆輸出”話はご破算となった。

結局広報部は、費用のかかるドラマ製作を諦め、管理世界向けには代わりに、当事者本人へのインタビューや実際の事件映像を基にしたドキュメンタリーを自分たちで作ったという。

調査報告(5) 無限書庫

「時空管理局の、巨大データベース」

一般管理世界市民の、無限書庫に対するイメージは、そんなものだろう。

確かに、無限書庫は現在、管理局が「所有」している。

そして、総合司書長以下、そこで働く職員は全員、管理局法により管理局員と同等の待遇を受けている。

しかし、ViVid第47話で明言された通り――まあ、元からそう思ってたけど――無限書庫は「管理局の創設以前より存在」している。

つまり、無限書庫は管理局自身が造り上げたものではない。

そればかりか、ユーノがやって来るまで、膨大な蔵書がまともに管理された形跡もなかった。

そりゃそうだろう。

無限書庫の正体は、何千年前とも知れぬ大昔、一人の大魔導師によって造られた、一種の「収集ストレージ」。

それ自体が1個の独立した「世界」となっている、次元世界最大のロストロギアである。

(無限書庫は、あまたの魔導師の手から手へと渡り歩いた末、約200年前に一旦、聖王教会の元に落ち着いた。そして管理局の創設と共に譲渡され、現在に至る)

そして、組織としての無限書庫は、管理局の組織図の中には存在しない。立場の上では、聖王教会に近い。

ユーノ・スクライア総合司書長を頂点とし、管理局と対等な立場で業務提携を結んでいる、れっきとした独立機関である。

(まあ、日本外務省にとっての日本台湾交流協会のようなもので、「独立機関」といっても多分に名目上のことではあるが)

ちなみに、本局コロニー内にある「一般開放区画」は、膨大な蔵書の中から、一般市民の閲覧に供しても問題ないものを書庫外に移した、いわば無限書庫の「分室」である。

ただし、その「分室」だけでも、その規模は某国の国立国会図書館並みではあるが。

そして、無限書庫本体と「一般開放区画」とは、転送ゲートで繋がっている。

「世界」が異なるため、転送ゲート以外に移動手段がないためだが、これは同時に、「個人転送手段を持つ者であれば、本局を通らずに無限書庫へ直行できる」ことを意味する(ViVid第47話のファビアが、まさにこのケース)。

無限書庫が造られた目的は、「次元世界のどこかで発行された、ありとあらゆる有形書籍を収集すること」。

決して、誰かが無尽蔵の書庫に書籍を放り込んでいるわけではない。無限書庫自身が生命体のように、この世のどこかで出現した書籍を即座に「複製」し、自らの内部に収集しているのである。

そのメカニズムは、未だに管理局でも解明されていない。まあ、だからこそ「ロストロギア」なのだが。

そして、かつて「闇の書」がそうであったように、無限書庫も所有者が転々とする中で、様々な機能が追加、強化されていった。元の世界で消滅した書物庫を丸ごと複製・収集する機能も、そんな追加機能の一つである。

しかし、それ以上に今日の無限書庫を「巨大データベース」たらしめているのが、「全ての次元世界(管理世界に限らない)にある全ての情報を、自ら書籍化して収集する」機能の追加である。

というか、この機能がなければ、「世界の記憶が眠る場所」の異名が大嘘になる。この世にある全ての情報が、正確かつ余すところなく、人の手により記録され、また書籍化されることなどありえないのだから。

実際、闇の書に関する記述なんて、過去にどこの誰が記録して、かつ本にまでしたというのか。

しかしながら、こうした情報が実際に「書籍化」されて収納されるまでには、最短でも10年、時には100年以上のタイムラグが存在するという。このため、現在進行中の事件捜査を無限書庫の検索だけで解決、というのはさすがに無理とのこと。

調査報告(6) 本局武装隊

時空管理局には、ランクB以上の戦闘魔導師で構成された常設の精鋭部隊が、少なくとも二つある。

一つは、本局直属の「武装隊」。

もう一つは、ミッドチルダ地上本部に属する「首都防衛隊」である。

(なお、StrikerS第8話で「首都航空隊」の存在が語られているが、これは信用できない。

公式サイトのキャラ紹介では、シグナムの前所属が「首都航空隊」となっているが、実際には第20話で、ゼスト共々「首都防衛隊」に所属していたと明言されている。また、(当初から登場していた)六課メンバーに関する記述には、「地上本部」の存在を含め、第10話以降に追加・変更された設定が全く反映されていない。

この事実から、「首都航空隊」と「首都防衛隊」が併存しているのではなく、第9話までの「首都航空隊」が、第10話を境に、地上本部隷下の「首都防衛隊」に設定変更されたと見るのが妥当である)

しかしながら、ただ「首都クラナガン防衛のため、地上部隊の精鋭を集めた」というだけで、やっていることは陸士隊の延長でしかない首都防衛隊に対し、本局武装隊は、その役割が根本的に異なる。

あらかじめ転送ゲートを設置しておくだけで、距離・次元の壁を越えて人員を短時間で移送できる「次元転送システム」の実用化は、それまで「次元艦による移動」――今日における最新の艦船でも、本局からミッドまで3時間かかる――や、魔導師個人の転送魔法に頼っていた次元航行手段に、一大革命をもたらした。

そして、管理局本局は、この先進技術に早速目を付けた。

既存ルート上であれば、もちろん瞬時。あるいは複数のゲートを経由することで、どんなに遅くても12時間以内に人員を遠隔地まで送り届けられるシステムがあれば、貴重な精鋭戦力を、次元世界の方々へ分散、常駐させる必要はない。1個の特殊部隊として常に本局の手元に置き、必要な時に必要な場所へ、必要な人員を逐次派遣する仕組みを導入すればいい。

――この発想の下、一般部隊に対する救援・増援を主任務とする遊撃部隊として設立されたのが、本局武装隊である。

現に、1期・A'sで艦船アースラに常駐していたのは、艦長と副官たる執務官、そして少数のオペレーターと捜査官だけであり、一定の戦力が必要な時は、そのたびに武装隊から転送ゲートを通じて戦闘要員が送られてきていた。

これは、次元転送システムを有効活用し、もって戦力の効率的運用を図る、本局の人員戦略の一環である。

さて、本局武装隊と首都防衛隊。あなたが空戦Bのエリート局員なら、果たしてどちらを目指すだろうか。

確かに武装隊の方が任務は困難で、危険も多い。しかし、戦闘魔導師として管理局に入った者であれば、これほどやりがいを感じる、憧れの部隊もないはずだ。

実際、首都防衛隊には、(ゼストのように)地上に余程愛着があるか、(シグナムのように)本局からの出向か、あるいは実力はあっても遊撃要員としての適性に欠けているか。つまり、エリートの中でも「訳あり」な人たちしか集まってこない。

エリート魔導師が本局武装隊へ流れるのは、むしろ当然の成り行きである。優秀な受験生が、放っておいても東大・京大を目指すのと何ら変わらない。

それを「本局が、優秀な人材を強引に引き抜いている証拠」などと主張するのは、ただの世迷言でしかない。

レジアスはいつも「地上本部は人材も予算も足りぬ」とほざいていたが、それは本局でも同じこと。というか、人材や予算が足りている治安組織など、この世のどこにも存在しない。増加する犯罪件数に対応するために人員を増やせば、それまで「見過ごされていた」犯罪をも浮かび上がらせるため、かえって犯罪認知件数は増加。結果、いつまでたっても人員不足は解消しないというのが現実である。

レジアスは、何が何でも人員と予算を増やすことしか眼中になく、そのためなら違法手段にまで手を染めた。

しかし本局は、人材、予算、そして法の制約をむしろ当然のこととして受け入れ、それらを知恵と戦略でカバーしてきた。

どちらの方針が正しかったかは、StrikerSの結末を見るまでもないだろう。

調査報告(7) 時空管理局前史

※ MooLing作品では、「旧暦=新暦700」とします。

古代ベルカが崩壊した「旧暦462年」が、1期(新暦65年)から見て「およそ300年前」ですので、そこから切りのいい数字を逆算しました。


ミッドチルダ統一暦(今日では「旧暦」と呼ばれる)615年、のちに「時空大戦」と呼ばれる戦争が起こった。

ほんの些細な切っかけから始まったこの戦争は、当時認知されていた全ての魔法世界を「親ミッドチルダ」陣営と「反ミッドチルダ」陣営に文字通り二分した。

実は、のちに旧暦後期(約400年~625年)として区分される この時代は、「魔法世界」と言いながら、一方で科学文明が極度に発展した時期であったことから、その住民たち(特に一般人)の間には、「魔法は、魔導師にしか使えない過去の力。誰でも使える力である科学こそ素晴らしい」という考えが まん延していた「科学至上主義」の時代であり、魔法文明は「時代遅れ」とさげすまれた、魔導師にとっては まさに「暗黒時代」であった。

そんな時代だったからこそ、この戦争には、その「科学の粋」というべき、ありとあらゆる質量兵器が戦線に投入された。

そして双方が互いに、「我らこそ正義」の旗を掲げつつ、止めどなく破壊と殺りくを繰り返した。

そして、10年後の統一暦625年、この戦争は、ようやく終結の日を迎えた。

――反ミッド陣営に属した全ての次元世界の全滅、という形で。

しかし、ミッド陣営もまた、最終的に次元世界の半数近くが失われた。生き残った世界でも、文字通り灰塵に帰したクラナガンを初め、都市部はほぼ全てが壊滅。気が付けば、次元世界の全人口は、開戦前の約10%にまで激減していた。

(もちろん、各世界の軍組織は全て壊滅。後の最高評議会の面々など、わずかに生き残った職業軍人は皆、警察等に引き取られ、以後、軍隊は二度と再建されることはなかった)

結局、この戦争による被害を免れたのは、ミッドチルダの中にありながら、両陣営のどちらにも与せず、最後まで絶対中立を貫いた、「聖王教会領」だけであった。

それゆえ、「終戦」を伝えるミッドの新聞紙面は、

「人類史上最も愚かな戦争、遂に終えん」

「勝者はどちらか?死を免れた我々か、生を免れた彼らか」

「この戦争に勝者はいない。全人類が、質量兵器の前に敗北した」
などなど、自己批判一色に塗り潰された。

そして、思い知らされた。

「誰でも使える力」とは、実は「赤ん坊でも人を殺せる力」でもあることに。

終戦後すぐ、残された魔法世界の人々は立ち上がった。

もう二度と、人類が戦争を起こすことのないように。

人類を戦争へいざなう忌むべき質量兵器を、次元世界から根絶するために。

そして――質量兵器に頼らない、「魔法による次元世界の平和」を実現するために。

こうして旧ミッド陣営を母体として、「時空平和機構」は設立された。

その設立に最も尽力したのが聖王教会であり、のちにその功績により、聖王教会領はミッドチルダから名実共に独立。「ベルカ自治領」となる。

時空平和機構は、各世界の政治には一切干渉せず、ただ世界間で生じた対立を、武力ではなく「法の裁き」によって解決する、超世界的(超国家的)裁判機関としてスタートした。

そして加盟世界に対しては、機構の裁きに無条件に服することと、保有する質量兵器を速やかに破棄することが義務付けられた。

しかしながら、各世界の警察をいきなり「魔導師だけの組織」に衣替えすることは、失業者の大量発生を招くため不可能である。そして一般人たる警察官に魔導兵器は使えず、現状の質量兵器に頼らざるを得ない。

このため機構と各世界は、既存戦力の定年退職を待ちつつ、新戦力を原則魔導師のみとすることで、徐々に組織を移行させる方針を採るより他に道はなかった。

結局、警察が魔導師主体となり、殺傷力のある質量兵器がそこから一掃されるまで、60年近くかかってしまうことになる。

(今日なお、警ら局員の3分の1ほどが一般人であるが、彼らに認められている装備は衝撃銃など、殺傷力のないものに限られている)

その約60年の間に、機構の役割も拡大・変化していった。

まず、加盟世界市民が「世界の外」で犯す犯罪に対応するため、機構自身が独自の警察隊を保有するようになった。今日の本局直属部隊(次元航行部・海上警備部など)の前身である。

世界間の対立が沈静化したこともあり、機構の仕事もこの警察活動がメインになっていく。

機構が「中立の警察力」となったことで、それまで伝統的に聖王教会が担ってきたロストロギアの回収・維持管理にも関わるようになった(のちの管理局設立と共に、ロストロギア関連業務の主導権は管理局に移行することになる)。

そして、統一暦700年。

危険な質量兵器をほぼ一掃した加盟世界は、同兵器の完全なる撲滅を目指し、「質量兵器禁止条約」を締結した。

そして、条約に完全な強制力を持たせ、かつ、加盟世界から戦争の芽を完全に摘むため、
各世界から全ての武力組織を取り上げ、時空平和機構を中心とした新たな組織の下に統合する
ことも、同条約で取り決められた。

(現在の各地上本部は、このとき各世界から分離された警察機関が前身である。正確には、一旦本局に統合されたのち、ミッドなど規模の大きいものから順に地上本部が設置された)

こうして翌年、統一的司法組織「時空管理局」は誕生。

以後、条約に加盟した次元世界は、「時空管理局の法的な管理と庇護の下、平和を享受する世界」=「管理世界」と呼ばれることになる。

また、これを機に、それまで各世界でバラバラだった暦も統一されることになり、時空管理局創立日を「1年1月1日」とする「新暦」が、全管理世界で施行された。

(より正確に言うと、旧暦から新暦への移行が円滑に進むよう、管理局の創立が「旧暦701年1月1日」に合わせられた)

調査報告(8) 小ネタいろいろ その1

★ ベルカ式魔法の術者で、優れた者は「騎士」と呼ばれた――のは昔の話。

「リンカーコアの持ち主」であれば誰でも習得できるミッドチルダ式と異なり、術者との相性に激しく依存するベルカ式は、「騎士」クラスでなければ、到底実用的に運用できる代物ではなかった。

このため、今日ではベルカ式の使い手自体が極めて少ないこともあり、「騎士」または「魔導騎士」は、ベルカ式の“魔導師”自体を指す呼称ないし尊称となっている。

デュランダルは、実は二つある

そもそも、「闇の書を主ごと凍結封印」という作戦を発案したのはクライドだった。その作戦に乗ったグレアムが、そのためのデバイスを自ら設計し、技術部に作成を依頼したのが、デュランダルの1号機である。しかし、その完成を見ることなくクライドは殉職。1号機はクライドの遺品として、妻リンディの手に渡った。

その後グレアムは、地球における知人の娘である(←クロノは疑っていたが、これは本当の話)はやてが「闇の書の主」となったことを知る。しかし、無実のはやてを凍結封印することなど、管理局に許されるはずがない。このため、「己の運命を悟った」グレアムは「全ての罪を背負う」覚悟で、密かにデュランダルをもう一つ、自身の手で作り上げた。それが2号機であるが、これはA'sで描かれたように、結局はクロノの手に託され、対ナハトヴァール戦に使われることとなった。そして、そのままクロノの愛用デバイスとなり、今日に至る。

★ 管理世界にも「三権分立」はある。

元々「警察」は、行政(防犯・治安維持)と司法(事件捜査)の両分野にまたがった存在であり、それを国家慣習上、地球では行政機関の一つ、そしてミッドなど管理世界では、裁判所と不可分の司法機関と見なされているという違いがあるに過ぎない(法を執行・適用するのが「司法」、法の枠内で政治を行うのが「行政」、という観念)。

また、形式的には裁判所は管理局の組織内にあるが、その裁判所で管理局側の人間が裁判官を務めるのは、実は民事裁判のみ。通常「管理局 対 市民」の構図となる刑事裁判では、裁判の中立性を守るため、裁判所からの「招待」を受けて関係世界の司法行政当局から派遣される法曹が裁判官を務める(民事でも、当事者の一方が管理局のときは、この形式になる)。もちろん「招待」した以上、外部裁判官の下す判決を管理局は拒否できない(被告は控訴権あり)。

11歳なのはを撃墜したのは、アンノウン(ガジェットドローンIV型)――ではない

真相は、Detonationで描かれた通り。確かに、なのはは最終決戦で、勝利と引き換えに「撃墜」と言われてもおかしくない瀕死の重傷を負ったが、もちろんJS事件とは何の関係もない。それをよせばいいのに、この件をStSで取り上げるために製作スタッフがでっち上げたのが、――あんな飛べない代物が、どうやって なのはを撃墜したのか、未だに謎󠄀な――あの「ザリガニロボット」である。

なお、なのはの体を瀕死状態から短期間で快復させたエルトリアの医療技術でも、「フォーミュラの力」の度重なる行使によって深刻なダメージを受けた魔力器官(特にリンカーコア)までは治癒できなかった。結局なのはは、戦闘魔導師として現場復帰するまでに半年、そして完全復活には1年を要することになる(と、これだけは事実)。

ルーテシアが「隔離処分8年」なんて大嘘。

結局のところ、ルーテシアがやった事は1期のフェイトと本質的に同じであり、実際ナンバーズからも「施設を出るのは自分たちより早い」と言われていた。

実際には1年後、無人世界カルナージで母メガーヌと共に静養生活に入った頃には、保護観察処分は解けている。また、「魔力を大幅封印」された事実もない(レリックを摘出されただけ)。というか、そうでないとViVidに繋がらない。

ナンバーズ更生組も然りで、SSXの時点では、保護観察中なのは既にチンク一人を残すのみとなっていた(他の3人は、チンクを独りに出来ず、自主的に施設に残っていただけ)。そのチンクも翌年には自由の身となり、ディエチ・ウェンディと共に管理局に入局している。

調査報告(9) 小ネタいろいろ その2

総じて言えば、アンチ二次への反論というか、「魔法少女ものに、何いちゃもん付けてんだか」って話。


★ スーパー魔導師が女の子ばかりなのは当たり前。

管理世界では常識だが、元々「男子は身体能力に優れ、女子は精神能力に優れる」。その「精神能力」の代表格が魔法である。

作中では見栄えを優先したため、モブ局員は男ばかりだが、実際にはランクC以下なら男女ほぼ同数。以後、ランクが上がるに連れて女子の比率が上がり、AAA以上ともなると、女子が9割を超える

男子でありながら「空戦AAA+」なんていうクロノの方が、むしろ例外なのだ。

★ スーパー魔導師が10代ばかりなのも当たり前。

これも管理世界では常識だが、「魔導師は優秀な者ほど、その内面の成長も早い」。特にニアS・オーバーSともなれば、精神面の成長速度は一般人の2倍ほど(つまり、天才魔導師の10歳は、精神面では一般人の20歳相当)。実際、なのはや はやては、魔法に目覚める前から、その片鱗を見せていた。

ちなみに、ミッドにおける成人年齢は、一般には満18歳以上だが、ランクD以上の魔導師なら満15歳以上。そして管理局法により、管理局員は年齢に関係なく成人として扱われる。

要するに管理世界では、魔法を存分に操れる優秀な魔導師は、それだけで名実共に「大人」なのである。

★ 管理世界では、魔導師だけがいい思いをしている――わけではない

例えばミッドでは、全人口のおよそ半数が「リンカーコアを持つ」。更にその半数が実際に魔法を使え、そして全人口の1割近くがランクD相当である(とはいえ、本人の意思や他の適性・資質等との兼ね合いもあり、実際の管理局員の数は、全人口の1%にも満たない)。他の管理世界も似たようなものであり、管理世界において魔導師は、普通に身の回りにいる、ありふれた存在でしかない。

そして、「魔法に関係のない才能は、一般人に多く表れる」というのも管理世界では常識であり、実のところ、(魔法競技以外の)アスリートや文筆業、芸能人、(純粋科学の)学者・技術者、政治家、企業経営者などは、圧倒的に一般人の方が多い。世界全体で見れば、「一般人に出来る事」と「魔導師に出来る事」は、見事にバランスが取れている。

つまり、たとえ管理世界であっても、魔導師が特別恵まれた存在というわけではない。

調査報告(10) 本当はこうなるはずだったStrikerS

調査報告というより楽屋オチ。あくまでMooLingによる、勝手な大妄想の産物ですので、あしからず(笑)。


★ そもそも、本当はスバルが主人公のはずだった。

しかし、主に商業的理由により、結局はなのはが――。

★ そもそも なのはは、11歳の時に撃墜された後遺症で、「もう空を飛べない」はずだった。自分が戦えないからこそ、教導官になって若手を鍛えるようになったのだ。『とらは3』で、膝を痛めた恭也が美由希に夢を託したのと同じパターンと言っていい。

しかし、なのはも戦えることになったため、撃墜事件の設定が宙ぶらりんになってしまう。で、これをどうにか回収しようと無茶をした結果が、あの第8・9話である。

はやてフェイトは、前作までのリンディ・クロノの立ち位置に入るはずだった。要するに、完全な裏方であり、スバルたちのサポート役。

しかし、なのはが戦うなら、この二人も戦わないわけには……。

ヴィヴィオなんて、影も形もなかった。

というか、元々はルーテシアこそが「封印から目覚めた聖王本人」であり、ゼストはその従者。そして、ルーテシアもまた「自分のレリック」を求めて、ナンバーズとは別行動を取っていたのだった。

SSXの冥王イクスヴェリアは、このルーテシアの「原設定」を転用したもの。

★ 実は聖王教会こそが、スカリエッティを生んだ「真の黒幕」だった。

カリムの予言もインチキで、カリムが作ったシナリオに沿って、スカが動いていただけだった。

しかし、この設定はさすがにシャレにならなかったか、聖王教会とカリムは善玉に変わり、いかにも「内なる敵」にふさわしい新たな黒幕――地上本部レジアスの登場となる。

最高評議会は「真の黒幕」というより、ただのミスリード要員。恐らく視聴者は彼らを、ミゼットら「伝説の三提督」の「裏の顔」だと思ったことだろう)

ティーダの殉職は、「事件の真実」に近付きすぎたが故に罠にはめられたもの。そしてヴァイスもそれを知りうる立場だったために左遷された――というのが真相のはずだった。

結局、「殉職の真相」はゼストに回され、ティーダもヴァイスもレリック事件とは無関係になってしまう。で、ティーダ殉職の設定を無理矢理生かそうとした結果、ティアナがあんなことに……。

そればかりか、「ただの兄貴分」に転落したヴァイスに活躍の場を――と、ゆりかご戦に強引に引っ張り出したせいで、クロスミラージュ・ブレイズモードの出番が消滅。ティアナ……。

ナンバーズは、実は「死体から作られたレリックウェポン」。そして、1番のレリックを埋め込まれたのが、ナンバーズ1番・ウーノ(ドゥーエ以下も同様)――のはずだった。

しかし、レリックの総数はもっと多いはず(6個+α程度じゃ済まない)。結果、ナンバーズはレリックウェポンでなくなり、代わりに新設定の「戦闘機人」ということになったのだが、そのために、物語の中心にあったはずのレリックは存在意義を失ってしまった。

更につじつま合わせのため、予言中の「死者」は「使者」に変わり、キリスト12使徒との連想からナンバーズも12人に倍増する。

そして「死体から~」の設定はゼストに回り、更にこれがSSXに転用され「マリアージュ」となる。

★ 本当はナンバーズ5番は、甦らされたクイントのはずだった(「クイント」は、イタリア語で「第5」のこと)。しかし、ナンバーズが「死体」でなくなったために、クイントの蘇生もなくなる。そして、クイントの穴埋めとして急きょ追加されたのが、チンクである(初登場が、2番ドゥーエのように「終盤まで存在を伏せる理由」もないのに、なぜか「後発組」より遅い第16話なのも、設定上は「先発組」なのに「更生組」に入ったのも、それが理由)。

当初予定されていた「スバルvsクイント」は、「スバルvsギンガ」に変更。で、ギンガが敵方に回る理由が必要になり、ただの格闘系魔導師だったはずの二人まで「実は戦闘機人でした」ということに。

調査報告(11) 聖王教会

……もはや、すがすがしいぐらいの原作無視。


★ いきなりだが、作中、聖王教会が「古代ベルカの英雄『聖王』を崇拝している宗教」として描かれているのは、いわば「大人の事情」による改変である。

実際には、地球の某宗教――名指しはしないが、まあ、見たまんま――と事実上同じと考えていいのだが、TVアニメでそれを言ってしまうと、いろいろと差し障りがあるので。

★ 「聖王教会」という名前の由来は、古代ベルカ前期、「聖王」ゼーゲブレヒト家を信徒総代として創立された教会だから(英国王室と英国国教会との関係に近い)。そもそも「聖王」の芳名自体が、この功績によるもの。

ただし、実際に「聖王教会」と命名されたのは、その聖王家が消滅したあとである。

カリムの「予言」を「膨大なデータに基づく、調査魔法を用いた未来予測」とするのは、あくまで魔法学的解釈による仮説に過ぎない。

科学的立証は出来ないが、聖王教会は創立時より、必ず一人、預言者が起こされており、代々の預言者は「天からの言葉を預かる」役目を負ってきたという。カリムに言わせれば、自分の能力は「予言」ではなく「預言」であり、本当は魔法ではない

★ 聖王教会は宗教団体であると同時に、特にベルカ滅亡により、本部(総大司教座)が現ベルカ自治領に移転してからは、ベルカの文化・文明の維持・研究を担う学術団体としての側面を併せ持っている。聖王家の遺品など「ベルカの遺産」の維持・管理、ベルカ式魔法やロストロギアの研究は、その一環である。

時空管理局との関わりも学術団体としてのものであり、管理局自身は全ての宗教に対して中立であることは言うまでもない。

教会騎士団が教会の独立・自治を守る戦力たりえたのは、昔の話。

今日、管理局の魔導師に匹敵する力を持った「騎士」は、シャッハを含めても数人しかいない。現在の騎士団は、上述した学術研究活動の主体、そして管理局との窓口機関としての役割に、ほぼ移行している。

なお、ベルカ自治領はミッドチルダから完全に独立しているため、ミッド地上本部の管轄下にもない。自治領は本局の直轄区域であり、その治安は本局直属の「ベルカ自治領警察隊」が担っている。

★ どれほど善行を積み重ねても、犯した罪を償うことは出来ない。そのことに気付き、思い悩んでいた八神はやてだったが、ある日、騎士カリムと出逢い――。

そして現在、八神家は全員、聖王教会の信徒である。

調査報告(12) ヴィータが語る、A's第1話の裏話

[Q] あの、なのはとヴィータのエンカウントからA'sは始まるわけですが、そもそもヴィータは、なのはの存在にいつ気が付いたのですか?

[A] 回答者: ヴィータ・ヤガミ

あー……つまりそれって。あたしらヴォルケンリッターが、リンカーコアの蒐集しゅうしゅうを開始したのが、現地時間の10月27日。そして、あたしと なのはの最初のバトルが12月2日の夜。その間、何であんな「馬鹿魔力」の なのはをほったらかしにしてたんだ?って話だよな。

あたしだって、全く気が付かなかったってわけじゃねーんだ。数日に1度、海鳴のどこかで一瞬、ふっと湧いてはすぐに消える、あの巨大な魔力反応。そりゃ、気にはなったけど、まさか、こんな魔法文明なんてない世界の、それも同じ街に、はやてみたいな上級魔導師がもう一人いるなんて想像もしてなかったし、ただの気のせいとしか思えなかったんだ。

先に答えを言っちまうと、あの頃、管理局は、なのはの巨大な魔力が外部から察知されないように、なのはに認識阻害魔法をかけていたんだ。まあ、管理局としてもPT事件の直後だし、万一の事を考えたら当然の処置だよな。で、実際その「万一」が起こっちまったわけだし――と、これはもちろん、全てが終わったあとで聞いた話な。

だから、あたしが なのはの存在を知ったのは、ほんっとに偶然だったんだ。

あの日――12月1日の夜。異世界でやっと1匹だけ見付けたデカブツを倒して、で、海鳴じゃ日も変わり、そろそろ夜が明けるかって時間になったから、あたしはいつもの集合場所に向かって、海鳴市の上空を飛んでいたんだ。

その途上、繁華街のビル陰で立ち話をしている、妙な男二人を見かけた。

そいつら、どう見ても日本人じゃねーし、体内からリンカーコアの反応がはっきりと見えた。まさかと思い、よくよく聞き耳を立てれば、使ってる言葉はミッドチルダ語。あん時は、とうとう管理局に、あたしらの拠点がこの海鳴だとバレたかと思って、マジでドキッとした。

それであたしは、そっと地上に降りて、男二人の背後に近付いた。もちろん、相手に気付かれないよう、認識阻害魔法を自分にかけた上でな。

そしたら案の定、こいつらは管理局員だった。といっても、あたしらを追ってたんじゃなくて、アースラが地球から離れている間、PT事件の影響で特別観測地域に指定されていた海鳴市をパトロールするために、本局武装隊から派遣されてきた連中だったんだけどな。

で、立ち話の中身は、まさにそのPT事件のことだった。この街にロストロギアがばらまかれて、それを回収しようとする管理局サイドと、そのロストロギアを狙う犯罪魔導師との争奪戦になる。そして、事件解決に貢献したのが、たまたまこの街にいた現地の天才魔導師だったって話。

一瞬、はやてのことかと思ったが、そうじゃなかった。「小学生」って言ってたし、はやてだったら「車椅子」ってキーワードが出てこねーわけねーしな。

あとは、A's1話で描かれた通りだ。そこまで話を聞けりゃもう用済みだから、たまたま出くわした振りして姿を現し、相手のリンカーコアと、こっちの身柄を賭けて勝負を挑む。

一応ハンデのつもりで、空戦なしで勝負してやったんだが、全然ハンデにもならなかったな。大方、受験対策だけでランクBを取って武装隊には入れたけど、全然実力が伴ってなかったんだろ。ま、あいつらには、いい薬になったんじゃねーか。

そのあと、はやての家で各自成果を報告。管理局員が海鳴にまで来てたと聞いた時のシグナムの顔、あれは見ものだったな。

とにかく、海鳴に「大物」が潜んでいると分かった以上、ほっとく手はない。その日の夜は、全員で海鳴市内を徹底的に探そうということになったんだ。

そして、問題の夜を迎えたわけだが。

やっぱり、4人とも「反応」は感じられたが、シャマルの探査でさえ、肝心の場所がまるでつかめねー。

だから、あたしがあの時、捕獲結界を張ったのって、ある意味、最終手段だったんだ。

確かに、結界で対象を事前に絞り込んでしまえば、強力な認識阻害魔法さえ出し抜ける。だけど、あんなあからさまに怪しい結界なんぞ張ったら、当然相手にも異変を簡単に察知される。

つまり、これまでのような不意打ちが出来ず、攻めてくるこっちを迎え撃つように待ち構えてる、それも上級の魔導師を相手にしなきゃなんねーからな。

いや、もちろん自信はあったさ。百戦錬磨の「ベルカの騎士」が、天才とはいえ魔法に目覚めたばかりの子供なんぞに、負けるわきゃねーからな。

実際、A'sでは最後まで、なのはに負けなかっただろ?……いやまあ、結局はナハトヴァールに邪魔されて、痛み分けに終わったけど。

調査報告(13) シグナムは、ゼストを殺したのか?

[Q] ぶっちゃけた話、シグナムって、人、殺してね?

ヴィータ そういや、そうだな。StrikerS第25話で、ゼストをものの見事に、レヴァンティンでバッサリと――。

シグナム ま、待て、ヴィータ! それは違うぞ。あれは――。

ヴィータ 言っとくが、ゼストは元々「死体」だから、ってのは無しだかんな。レリックに頼った仮初めの命とはいえ、生きてたことには変わりねー。

シグナム そんなことは分かっている。というか、ヴィータ、お前、全てを知った上で言ってるだろう。顔がにやけてるぞ。

シグナム 全く……未だに誤解されているようだが、そもそも私は、騎士ゼストを本当に斬ったわけではない

確かにあれは「騎士」同士の「真剣勝負」だったし、彼の方は、半ば本気で私を殺しに来ていた。しかし、今の私は「ベルカの騎士」であると同時に「管理局員」だ。たとえ相手が犯罪者でも、いや、犯罪者であればこそ、相手を無闇に傷付けることは許されぬ。

それ故、私は騎士ゼストに対し、実際には魔力ダメージのみを与える「訓練モード」で相対した。

ヴィータ ViVidでいうところの「クラッシュエミュレート」だな。

シグナム そうだ。それに、第26話を確認してみろ。背中から一突きにされたレジアスの遺体からは血が見えているのに、その横に置かれたゼストの遺体からは、全く血が流れていない。本当は斬られなかったという、何よりの証拠だ。

ヴィータ でも、真剣勝負のはずがそんなやり方で、よくゼストが納得したな。

シグナム 元より、彼も管理局員だった男だ。StrikerSではカットされたが、騎士ゼストは「斬られた」のが実際にはエミュレーションなのに気付いた直後、「この状況でも管理局員としての分を守った」と、私をたたえてくれた。

ヴィータ でも、あれがエミュレーションなら、何でゼストは死んじまったんだ?

シグナム それは――。

アギト それは、あたしが説明する。

シグナム いたのか、アギト?

アギト さっきから、そばにいただろうが。

旦那自身が第18話でほのめかしてたけど、あたしらが地上本部襲撃に加わった頃には、既に旦那はレリックウェポンとしての寿命が尽きる寸前だったんだ

だからこそ旦那は、最後の最後で騎士としての真剣勝負に臨み、そして本懐を果たした。そして……タイムオーバーを迎えたんだ。

ヴィータ それじゃ、第26話のあの台詞は何だったんだ? お前はっきり、「あんたは、旦那を殺した!」と言ったぞ。

アギト あん時は、あたしも知らなかったんだ! 旦那がそこまでギリギリの状態だったなんて。だから、てっきり……。

シグナム 理由が何であれ、私が騎士ゼストを救えなかったのは事実だ。何を言われても仕方がない。

アギト 旦那の寿命のことだって、旦那が指輪に遺した情報で初めて知ったんだ。旦那、そんな大事なこと、あたしに一言も言ってくれなかったし。

ヴィータ お前、ゼストの融合騎だろ? 言わなくたって、気付いて当然じゃねーか。

アギト だから、気付かなかったんだって!

シグナム 分からなかったのは、元々、騎士ゼストとは相性を無視した強引な融合だったからだろう。その件でアギトを責めるのは酷だ。

調査報告(14) 小ネタいろいろ その3

★ 「65年闇の書事件」裁判において、被告人として裁きを受けたのはヴォルケンリッターだけであり、八神はやては裁かれていない(証人として出廷しただけ)。

そもそも、「法的には使い魔と同等の存在であり、ベルカ市民・管理世界市民としての権利・義務を有する」ヴォルケンリッターと異なり、地球住民であり、また、当時は管理世界市民ではなかった はやてが、管理世界の法の適用を受けるはずもなく、よって管理局に はやてを裁く権限など初めから存在しない

この時、はやてに課せられたとされる「保護観察」は、正しくは医療目的の「観察措置」であり、刑罰でも行政処分でもない

★ StS等に出て来た自衛隊っぽい「階級」は、管理局を「地球連邦軍の類い」と誤解した地球側スタッフの創作。

なお、本局の「提督」は、上級幹部局員に対する称号であり、階級ではない

★ ミッド式魔法に「非殺傷設定」はあるが、「殺傷設定」などない

そもそもミッド式には、「魔法で相手を傷付ける」という発想が根本的に存在しない。それ故、攻撃魔法でさえ「非殺傷」がデフォルトであり、「相手を傷付けたくない」という意識が使い手に少しでもあれば、その思いがそのまま魔法にストレートに反映される(少なくとも、それが魔導師たちの共通認識である)。そのため、使い手の意思に反して相手を殺傷してしまうことは、100%あり得ない

また、「非殺傷設定」の対義語として「物理破壊設定」があるが、これは非生命体に対する攻撃モードであり、「非殺傷設定」が非生命体には無意味であるのと同様、「物理破壊設定」による攻撃を生命体にぶつけても、ダメージはゼロである(物理学的に説明できないが、そもそも魔法とはそういうもの)。むしろ、生命体に対する「非殺傷」と、非生命体に対する「物理破壊」の両立――StS 25話の「クワットロKO」が、まさにこれ――こそが、「相手を傷付けることなく制圧する」ミッド式魔法の真骨頂である。

(ちなみに、劇場版で言及される「非殺傷スタンモード」は、対物効果を捨て、魔力を「対人非殺傷攻撃」に全振りしたものであり、「本モードを使わないと殺傷してしまう」わけではない。――そうとでも解釈しなければ、スタンモードを「最後のキメ」でしか使わない理由がない)

StS 7話の「誤射」や、17話の「ラグナ失明」は、これを理解できなかった地球側スタッフが、シナリオ演出のためにでっち上げた創作であり、事実ではない

ただし、こうした非殺傷効果は、ヴォルケンリッターのような「“本物”の生命体ではない存在」には適用されない。A'sでシグナムが、フェイトの攻撃で傷を受けてしまったのも、これが理由である。

また、そもそも使い手が「殺傷する気満々」であれば、ミッド式であっても非殺傷にはならない。Reflectionで、リンディがレヴィの攻撃を受けて負傷した件が、まさにこのケースだが、とはいえ、レヴィにここまで「相手を傷付けない」意思がかけらもなかったのは、与えられた力の大きさに酔ってしまい、「猫の闘争本能」が完全にむき出しになっていたからであり(フェイトに負けて、目が覚めた)、こんなのは例外中の例外と見なすべきだろう。

★ 「もはや人も世界も動かせない」のは、ミゼットら「伝説の三提督」ではなく、他ならぬ、最高評議会(三脳)の方。

スカリエッティは、戦闘機人について「元は最高評議会主導で、管理局が実用寸前まではこぎつけていた技術」と言っていたが、実際に三脳が主導していた――言い換えれば、それが出来るほどの「最高権力者」だった――のは、旧暦末期、まだ時空管理局が前身の「時空平和機構」だった頃の話である。時代が新暦に移り、ミゼットら「三提督」が管理局で台頭していく頃には、三脳は肉体も実権も失い、「管理世界と管理局を見守る」ことしか出来ない存在になっていた。

そしてStSの時点では、その存在がたまにクロノら提督・将官の口に上る程度で、一般の局員からは、ほぼ完全に忘れ去られていた。本人たちはスカリエッティやレジアスを通じて管理局を陰から支配しているつもりでいたが、実際にはスカの手のひらの上で踊らされ、レジアスからは、その名ばかりの権威を利用されていただけであり、そんな自分たちの現実を自覚すら出来ないほど もうろくしてしまった、哀れな存在に過ぎない。

片や、平時は良くも悪くも「普通の老人会」な三提督だが、機動六課を裏で支え、いざとなれば自ら前線に向かうことをいとわない彼らは、普段は今の世代を信じて動かないだけで、その権威・権力は今も健在であり、なのはたち管理局員から大いに尊敬されている。

★ SSXでルネッサは、確かにリボルバー銃をデバイス扱いで使用する許可を受けていたが、実弾使用まで許可されたわけではない(リアル世界にも、ゴム弾や麻酔弾というものがある)。

もっとも、本人は実弾を(違法に)持ち込んでいたが。

★ リオの故郷、ルーフェンは、ミッドチルダとは別の管理世界――ではなく、地理的にはミッドチルダの一地域。ただ、往来に次元船が必要なほど、首都クラナガンから遥かに遠い辺境というだけ。

ミッドチルダから出られないはずのイクスヴェリア(小)がやって来れたことが、何よりの証拠。

調査報告(15) 時空管理局と地球①

時は新暦6年。時空管理局の黎明期。

とある、一人の魔法少女を乗せた小型次元船が、次元の海を漂っていた。

彼女の名はミゼット・クローベル

今でこそ統幕議長、そして「伝説の三提督」の筆頭として全管理局員の畏敬を受けている存在だが、当時は何というか――。

「あーん、もう!

何が、『未知の次元世界を一つ見付けてくるまで、絶対に帰って来るな』よっ!!」

はっきり言う。それは、あんたの日頃の行いが悪い。

この娘、一言で言えば「女両さん」である(笑)。

管理局員としては まだ3年目だが、魔導師としての力量は既に折り紙付き。そして実際、立てた手柄も数多いが、書かされた始末書の数もそれ以上に多いという、局内でもぶっちぎりのトラブルメーカーであった。

そしてある日、業を煮やした上司から「未知の次元世界の探索。お前なら、一人で出来るよな?」という無茶苦茶な任務を命じられ、あてがわれた次元船と共に次元の海へ放り出されてしまったのだ。要するに、厄介払いである。

数年置きに1個発見できれば上出来、という今日と違い、当時は年に4、5個は普通に見付かっていた「世界ラッシュ」の時代だったから、本気で血眼になって探せば不可能ではないとはいうものの、それは探索専門のクルーを何十人も載せた大型次元船で行けばの話。それを一人でやれ、というのは無謀にも程があるが、その反面、
「あのミゼットなら、ひょっとして……」
と、提督諸氏から思われていたのも事実であった。

そして、実際。

「……えっ? 『人為的核分裂反応の痕跡を検出』!?」

出発からわずか10日目。次元船に装備された探知機が、有人世界――それも、高度な科学文明を持つ世界――が存在する証拠を、見事に検知してしまった。

これが、のちに「第97管理外世界」として正式に承認される、「地球」と管理局とのファースト・コンタクトである。

さて、「痕跡」に引きずられるように、大陸のそばに位置する島の一角――実は日本・静岡県某所――に次元船を着陸させたミゼット。

忘れないうちに人払いの結界を張ると、早速、惑星中にサーチャーを飛ばして、調査を開始した。

そして、調査開始から2週間が経過。

「……何なの、この世界」

各地のサーチャーから送られて来る映像を前にして、ミゼットは唖然とする他なかった。

気候などお構いなく、全地を埋め尽くすように存在する、様々な肌の色を持った無数の人間。

「人口は概算で……24億!? 桁が違うにも程があるわよっ!」

(ちなみに、当時はミッドチルダでさえ5億強、管理世界全体でようやく50億だった。ちなみに、現在はそれぞれ7億、100億弱)

そして、管理世界に交じっても充分上位に入るのではと思われる、高度な科学文明を有していることが、映像からも分かる。

「はあ……確かに、これなら核兵器だって作れるでしょうね」

しかし。

これほど科学が進んでいるにも関わらず、魔法の存在を全く確認できなかった。

「そりゃ、大気中の魔力素がこんなに薄かったら、魔法文明なんて育ちようがないけど……」

ミゼットにとって、科学と魔法はまさに「車の両輪」。どちらが欠けても、その進歩はあり得ない。

それは彼女に限らず、魔法世界に生きる人々にとっては余りにも至極当然な、「常識中の常識」であった。

現に、これまでに確認された数々の次元世界において、魔法文明を持たない世界では、その科学レベルは、ミッドチルダでいえば古代の域にとどまっていた。

更に、それ以上にミゼットを悩ませたのが――。

「言語解析、また失敗!?」

次元船に装備された最新の言語解析システムは、この世界の言語を未だに把握できずにいた。

現地の言語に関する情報がなければ、翻訳魔法は使えない。それでは、現地住民とコンタクトを取ることも出来ず、情報収集に致命的支障を来たす。映像だけでは、調査にも限度があるのだ。

だがミゼットは、ここに来てようやく、はっと気付く。

「……ひょっとして、世界各地で、言語がバラバラ?」

早くに世界統一を果たしていたミッドチルダは言うに及ばず、何十もの国に分かれ、年がら年中戦争をしていたようなベルカでさえ、言語はベルカ語で統一されていた。

そんな管理世界の常識からは考えられない事であるが、これだけ無数の人間が世界中に散らばって生きている世界である。あり得ない事ではない。

そして、それなら言語解析が上手くいかないのも道理。「言語は一つ」という前提で、世界中から収集した言語データをシステムに投入していたのに、それが実は複数の言語のミックスだったのであれば、システムが理解できなくて当然であった。

しかし、それが果たして正解なのかどうか。

彼女は試しに、膨大な言語データの中から、いま自分がいる島の中から収集したものだけを、解析システムにかけてみた。

――大当たりである。

最新のシステムは、今度はわずか1日で、この島の言語――日本語を見事に解析してみせた。

(実は、のちに認定された第97管理外世界の固有名称は、ズバリ「CHIKIU」である。もちろん、日本語の「地球」から。この時、ミゼットが最初に触れた現地語が日本語だったからに他ならない。

その一方で、実はこの時、解析システムは、本来「次元空間」と訳すべき単語を「時空」と誤訳していた。そして結局、この誤訳された「時空管理局」という日本語名が、そのまま定着してしまうことになる)

調査報告(16) 時空管理局と地球②

ミゼットが地球での調査を開始して、2か月が過ぎた。

この間、ミゼットが本局に送った調査報告が、提督諸氏に全く信用されなかったり――それぐらい、管理世界の人間にとって「非常識」極まる内容だったということ。もちろん、ミゼットの「日頃の行い」のせいでもあるが――。

業を煮やしたミゼットが、本局に別の調査員の派遣を要求したり。

それで、やって来た調査員が、地球がミゼットの報告通りだったことに仰天したり。

――とまあ、いろいろとドラマがあったのだが、話が長くなりそうなので、詳細は省かせて頂く。

さて、基礎調査が終わり、ようやく本局への帰還を許されたミゼットであるが。

その帰途に就く次元船には、ミゼットと共に、一人の青年が同乗していた。

青年の名は中島なかじま 平吉へいきち

日本語を「覚えた」ばかりのミゼットがコンタクトを果たした、最初の現地住民である。

彼は元々、優秀な飛行機技師だったのだが、新婚の妻を戦災で失い、しかも敗戦のあおりで職まで失い、当時は無職独身。

今更故郷にも戻れず、知人のいない静岡の地で職を探しつつ、これまでの蓄えで何とか食い繋いでいる状態だった。

その彼が、ミゼットの語る管理世界に興味を示し、帰還の決まった彼女に「僕も連れて行ってくれ」と頼み込んできたのである。

しかし、彼は魔導師でも何でもない、ただの技術者に過ぎない。正直なところ、さすがのミゼットも困ってしまったが、

「ま、本局やミッドの技術力の高さを思い知れば、すごすごと引き下がるでしょ」
と、現地の“生き証人”という名目で彼を連れて行くことにした。1週間程度で地球に帰すつもりで。

そして、1年後。

平吉は地球を捨て、完全に本局コロニーに居着いてしまった。

それどころか、管理局の本局技術部に、正式に局員として採用されてしまった。彼の持つ「科学技術だけで飛行機を飛ばせる」知識に、管理局の上層部がことのほか、興味を示した結果である。

実際、平吉から見れば、当時は小型機から大型次元船まで、航空技術は完全に魔法頼みで、「こんな設計で空を飛んでいるのが信じられない」ほど、空気力学的に無駄が多すぎた。彼の知識は、管理世界で大いに役立ったのである。

結局、彼はその後、本局の女性局員と再婚し(彼にとって、ミゼットは“悪友”止まりだったらしい)、そのまま本局とミッドチルダで、残りの人生を全うした。

その人生の中で、彼に生まれた孫の一人が、ゲンヤ・ナカジマである。

調査報告(17) 時空管理局と地球③

ミゼットによる地球「発見」から、20年の月日が流れた。

この間も、「第97管理外世界」に対する時空管理局の定点観測は続いていたが、基本的には宇宙空間からの遠隔観測であり、地上への立ち入りは極力避けていた。例外は、「魔法無き科学文明世界」に対する興味本位から無断で入って来る異世界渡航者を、地上の各国政府当局に気付かれないよう密かに保護・送還した時ぐらいであり、それすら極まれな出来事であった。

ところで、管理局の本来の任務は、

それぞれ適用し、執行することであり、しかも管理外世界においては、その対象は原則として「管理世界市民」に限られる。

その一方で管理局法は、たとえ管理外世界であっても、その世界本来の文明レベルを超えた「魔法などの超技術による重大事件」が発生すれば、その拡大・悪化を実力で阻止し、解決に当たる権限を、管理局に与えている。「PT事件」や代々の「闇の書事件」を見れば明らかなように、重大魔法犯罪を「管理世界の外での出来事」として放置していては、管理世界もただでは済まないからである。

とはいえ、管理外世界においては、魔法や時空管理局の存在そのものが「世界秩序に対する重大な脅威」となりかねないことは、管理局も認識している。よって、管理外世界においては、存在や行為自体が現地当局に気付かれないよう、あくまで秘密裏に事を運ぶことを旨とし、実際には、余程の事が起きない限り「不干渉」が原則である。

しかし、新暦28年、そうやって不干渉を決め込むわけにいかない「余程の事」が起きてしまった。

一人の魔法犯罪者が地球のヨーロッパへ逃亡。地球各国の軍・警察をも巻き込み、追って来た管理局の本局武装隊員と、壮絶な魔法バトルを展開する事件が発生したのである。

(この時、その渦中で負傷して倒れていた武装隊員を発見、介抱した、一人のイギリス人青年がいた。のちの管理局提督、ギル・グレアムである)

管理局本局の尽力により犯人は何とか逮捕され、事件が現地の一般市民に表沙汰になるという最悪の事態だけは避けられたものの、この事件により、現地各国政府(特に上層部)に対して時空管理局、そして魔法の存在を隠し通すことは、もはや不可能となってしまった。

その一方で、自分たちの軍・警察が「たった一人の魔導師」に全く何も出来なかったという事実に、各国政府は衝撃を受けた。しかも、時は冷戦の真っただ中。こんな「超人」がどこかの国と手を組めばどうなるかは、火を見るよりも明らかであり、そんな「危険要素」を、中立の立場で排除してくれる「時空管理局」が存在するというのであれば、彼らに丸投げした方が得策である。

こうして、管理局と地球各国は利害が一致。両者の間で秘密協定が結ばれた。その内容は、

――である。

(なお、この時、管理局の全権代表となったのが、そもそもの切っかけを作ったミゼット提督である)

※ なお、ここでいう「異世界人」には、地球を除く管理外世界の住民も含まれる。

のちにイリス事件において、エルトリア住民であるキリエやイリスたちを次元法によって逮捕・処罰できた根拠も、ここにある。

とはいえ、地球にばかり構っていられるほど、管理局も暇ではない。

事実、その後も、地球での活動と言えば、定期的な観測業務と無断渡航者の逮捕ぐらいで、その他の活動権限については、完全に空文化していた。

しかし新暦65年、日本・海鳴市におけるPT事件の発生により、事態は一変する。

調査報告(18) 時空管理局と地球④

「65年闇の書事件」が一応の解決を見せ、地球では年が改まった頃。

時空管理局本局では、地球、とりわけ海鳴市への今後の対応について論議が起こっていた。

魔法文明が存在しないことで逆に有名だった地球の、それも一つの都市の中で、

高町なのは」と「八神はやて」という、とてつもない力と才能を秘めた上級魔導師が同時期に二人も出現し、

更に、「PT事件」と「65年闇の書事件」という、管理局史上に残る大規模魔導事件が、立て続けに2件も発生したという事実。

これは決して、ただの偶然ではない。きっと海鳴には、これらを呼び起こした何かがある。

――そう本局上層部が考えたのも、無理からぬことであった。

そして、本局は結論を出す。

地球の、それも海鳴に出来るだけ近い場所に拠点を設け、現地に常駐した局員の下、平時は更なる綿密な観測と調査に努め、加えて、今後地球で発生しうる魔導事件に対して即座に対応できるだけの態勢を整えるべきであると。

しかし、その拠点をどこに置く?

確かに海鳴市には、臨時の司令部として使えるだけの設備を揃󠄀えた(現に、これが闇の書事件で役立った)ハラオウン邸が既にあるが、相応の数の局員を常駐させるとなると、当然手狭である。

まして、地球上で大っぴらに管理局の看板を掲げて活動するわけにもいかない。

しかし、ここで思わぬ人物が、支援に名乗りを上げた。

次女・すずかを通じて、「時空管理局」の最近の活動を知った、月村家の若き女当主・春菜である。

(表向きは「月村重工の重役の妻」で、「子会社の一社員」に過ぎないが、これは、いわばカモフラージュ。元来、月村宗家は女系の家柄であり、婿入りした夫・俊を表に立てる一方で、実は春菜こそが月村家、ひいては月村グループを裏で牛耳っている事実は、月村家と「直接利害関係を持つ」ごく一握りの人たちしか知らない)

表社会では「一大企業グループのオーナー」、そして裏社会では「夜の一族」という二つの顔を持つ月村家。

その表・裏双方の人脈を通じ、「時空管理局」の存在自体は、月村家も以前から知ってはいたが、当然の事ながら、これまで管理局とえにしを結ぶ機会はなかった。だから、管理局とすずかの間に、間接的ながらも繋がりが生まれたことは、春菜にとっても幸運なことだったに違いない。

と言っても、別に管理局に恩を売るとか、取り入ってどうこうしようというのではない。ただ、特に裏社会に“敵”の多い月村家としては、どんな形であれ、味方は多いほどいいというか、敵に回したら厄介な相手は少ないに越したことはないというだけである。

かくして新暦66年、東京・新宿区内にある月村グループの持ちビルのワンフロアを丸ごと借り受け、時空管理局・東京臨時支局は設立された。ちなみに、表向きの看板は「月村系の調査会社の本社事務所」である。

支局長には、アースラ副官として海鳴の両事件に関わった、クロノ・ハラオウンが就任。他にもエイミィやランディなど、アースラ・スタッフの多くが、ここに横滑りしてきた。

調査報告(19) 時空管理局と「とある世界」①

話は、東京臨時支局設置の少し前に遡󠄀る。

「65年闇の書事件」裁判に向けて証拠調べを進めていた管理局本局(主にアースラ・スタッフ)は、その一環として、ヴォルケンリッターの相棒であるアームドデバイスに保存されていた、彼らの事件中の行動記録を精査していた。

彼らがどの次元世界へ飛び、その地の魔導師や魔導生物をどれだけ襲撃し、倒し、そのリンカーコアから魔力を蒐集したか、といった情報の記録である。

その精査の過程で、グラーフアイゼンの記録を担当していた調査官が、事件との直接の関係はありませんが、と前置きした上で、クロノにこう報告した。

「クロノ執務官、この記録をご覧下さい」

「どうした?」

「この日に、ヴィータ被告が侵入したとされる次元世界の座標が、現在管理局が把握している、どの次元世界とも一致しません」

「つまり、未知の次元世界――ということか」

もちろん、管理局といえども、現存する全ての次元世界を発見し尽くしているわけではない。事実、今なお数年に1度は、新たな次元世界の発見が報告されている。

ただ、問題は――。

「ただ、引っかかるのは、この座標です。文字通り、地球のすぐそばです。

ですので、実はこれは地球で、デバイスが座標認識を誤った可能性が――」

しかし、クロノはこれを即座に否定する。

「いや、それはないな。

同時に記録された映像を見る限り、ヴィータはこの時確かに、巨大な魔導生物を1頭撃破している。

しかも、この背景を見てくれ。明らかに昼間なのに、空が紫色だ。

巨大生物といい、空の色といい、地球での出来事とは到底考えられない」

その日の夜、クロノは確認のため、八神邸に戻っていた守護騎士たちに、問題の記録と映像を示した。

「ああ、これか」

するとヴィータは、あっさりと思い出してくれた。「よく覚えてる。無茶が続いたせいか、あん時は、どうにも体がだるかったからな。まあ、それでも何とか、1匹倒せたけどな」

「すると、やはりこれは、地球じゃないと」

「当ったりめーだ。こんなデカブツ、地球にいるかよ」

こんなやり取りの最中、そばにいたシグナムがつぶやいた。

「『灯台下暗し』、か」

クロノが問い返す。

「何のことだ?」

「この国の慣用句だ。余りに地球に近い所にあったせいで、かえって管理局も見落としていたんじゃないのか?」

その後の調査により、管理局本局は、記録通りの次元座標の位置に、未発見の次元世界が確かに存在していることを確認。正式に「第140管理外世界」と認定した。

そして、たまたま地球のすぐそばだったこともあり、出来たばかりの東京臨時支局に、この世界を観測・調査する任務が付け加えられた。

調査報告(20) 時空管理局と「とある世界」②

第140管理外世界――コードネーム「U-140」――の調査が決まったといっても、いきなり現地に適当な魔導師を派遣して、などという無謀な事はしない。まずは、その世界の概要を映像などで確認し、安全かつ秘密裏に調査できる場所はあるか、またそもそも、局員が安全に入れるような世界なのかを見極める必要がある(実際に、明らかに核戦争で滅んだあとで、世界全体が放射性物質で満ちていたケースも、過去にはあった)。

そこでいつものように、対象世界へ観測用サーチャーを大量に送り込むことから、調査は始められた。

やがて、東京臨時支局に置かれたモニターに早速、宇宙空間、あるいは大気圏から惑星を捉えた映像が映し出される。

するといきなり、一見するとクジラのような、大型次元艦船、いや、天空に浮かぶ島かと見紛うばかりの巨大生物が、大気圏を泳ぐように飛行している様子が映し出された。これには、居合わせた観測官一同、度肝を抜かれたそうだ。

さて、大気圏からの映像を見る限り、どうやらそこは有人世界らしく、いくつかある大陸の一つには、建物の密集した小都市があちらこちらに点在している。

ただ、不思議なことに、そこで暮らしているはずの「ヒト」の姿が、全く見出せなかった。

そうは言っても、ヒト以外の動植物は至る所に見付かるし、全ての都市が、使い魔と思しき生物で満ちあふれていた。

しかし、使い魔がいるなら、その主人たるヒトもいなければおかしいのに、肝心のヒトが一人も見当たらないのだ。

何らかの理由で、ヒトは(上空からは分からない)地下などに隠れて暮らしているのか。

それとも――実はヒトは既に死に絶えていて、使い魔だけが残されてしまったのか。

実は、人類が死滅した世界というのは、残念ながら、そう珍しいものではない。

突如、謎󠄀の崩壊に見舞われたベルカがそうだし、時空大戦などの戦乱によって滅亡した世界も数多い。

というか、今日「無人世界」と呼ばれている次元世界は、全てその類いなのである。

管理局によると、これまで確認された中で、全くヒトの影もなかった世界というのは一つもない。

発見された時点で既に無人だった世界も、調査してみればどれも、かつて人間社会が存在していた確かな痕跡が見付かっている。

ヴォルケンリッターが狩りの対象にしていた、無人世界に巣食う巨大魔導生物。

恐竜型や飛竜型とも異なる、あのような異形の怪物が、世界に最初からいたわけがない。あれは皆、かつてそこにいた人類が行っていた魔導実験や生命科学実験の「負の遺産」である。

そして、そんなことをしていた人類がどのような末路を迎えたか、容易に想像できるだろう。

話を戻そう。

本当に、そこにヒトはいないのか。それを明らかにするには、上空からだけではなく、地表近くから撮影した映像を、更に収集する必要がある。

しかし――その段階に来て、観測作業は過去に例のない、思わぬ障害にぶつかってしまった。

地表の、「人里」と想定される都市とその周辺に送り込んだはずのサーチャーから、映像が全く届いて来なかったのである。

調査報告(21) 時空管理局と「とある世界」③

本来、観測・調査対象として最も重要視されるのが、「人里」である。

しかし、現実にそこから映像も観測データも届いて来ない以上、「人里」へ直接調査官を転送・派遣することは危険すぎる。

このため、まずはサーチャーからデータが送られた地域――無人地帯から現地調査が始められた。

そして、調査開始から1年が過ぎた、新暦67年。

無人地帯の調査は順調に進んでいたが、「人里」の方は、依然として手付かずのままであった。

もちろん管理局も、この間、「人里」を放置していたわけではない。

「人里」へ直接降り立つのが危険ならばと、ひとまず無人の荒野に調査官と戦闘要員(魔導生物や現地住民の襲撃を受けた場合に備えて)で編成されたチームを送り込み、そこから徒歩や飛行魔法で「人里」へ近付いて行くやり方が、何度も試みられた。

しかし、そのたびに決まって、チーム全員が体調を崩し、上空で待機している次元船まで引き返さざるを得なくなっていたのである(ただ、船内まで戻れば、これまた全員、あっさりと回復するのだが)。

このため当初は、この世界独自の病原菌やウイルスの存在が疑われ、実際に現地で採取された空気や土壌が事細かに分析されたが、そういった類いの物質は、全く検出されなかった。

そんな中、調査チームに加わっていた、ある武装隊員の報告により、事態はようやく好転の兆しを見せる。

実はこの隊員、あの「65年闇の書事件」の時に、海鳴市でヴィータにあっけなく敗れて魔力を奪われた、あの武装隊員のうちの一人である。しかし、この時はまさに、その“経験”が生きた。

メンバーが体調を崩す真の原因が、体内魔力の急速な減少にあることを見抜いたのである。

確かに、魔力の減少が変調の原因なら、魔力の充満している船内まで戻れば、魔力と合わせて体調も回復するのは当然である。

しかし、どこかから攻撃されたわけでもなく、ただ「そこにいるだけで魔力を失う」なんて現象は、これまで管理局も聞いたことがなかった――だからこそ、こんな単純な事に、これまで誰も気が付かなかったのだ――。あのAMFにしても、魔力結合を妨害するものであって、魔力を直接失わせるものではない。

そんな訳で、魔力の減少が原因なら、その理由は依然不明でも、対策の立てようはある。

かくして、奪われた魔力を外部から補うことを目的に、直ちに本局技術部の手で「魔力バッテリー」が開発されることになった。

しかし、いよいよ調査が本格化しようかというタイミングで、あの「イリス事件」が勃発。

それまで暇を持て余していた東京臨時支局は、一転して、本事件への対応と事後処理に忙殺されることとなり、U-140の調査は事実上、中断を余儀なくされてしまう。

そして月日がたち、気が付けば、新暦71年。

この4年の間、東京臨時支局は、本来の任務である地球調査にかかりっ切りとなり、U-140の件は事実上放置されていた。

ところで、時空管理局に存在を認定された次元世界には、必ず固有名が付けられる。

無人世界であれば発見者が自由に命名できるが、有人世界の場合は、現地における「世界」あるいは人類の住む「惑星」の名称が原則として採用される。

しかしU-140は、早々に有人世界であることが確認されていながら、今なお現地住民とのコンタクトを果たせず、その世界が現地で何と呼ばれているか判明していなかったため、本来は正式に命名されるまでの短期間、使用されるだけの仮称に過ぎないコードネームが、未だに局内で通用していた。これは異例の事である。

そのような状況にあった、この年の夏、ある出来事が、地球で起こった。

東京臨時支局のモニタールームに、突然、大きなアラームが鳴る。

「次元空間の波動発生を確認! 次元転送です」

観測スタッフの報告に、その場に居合わせた局員一同が色めき立った。

もちろん、支局や海鳴市内の特定地点で次元転送が発生しても、こんな騒ぎにはならないし、そもそもアラームなんぞ鳴らない。アラームが鳴った時点で、想定外の転送が発生したのは確定である。

「発生元は?」

即座に、ランディ支局長が聞き返す。

なお、艦隊任務に復帰したクロノとエイミィに替わって、この時はランディが支局を任されていた。

「日本ですが、この近辺ではありません。……紀乃川市です」

その時、また別のアラームが鳴り響いた。隣にいた別のスタッフから、報告が入る。

「別の箇所で、次元転送を確認! イギリス・ロンドン市内です」

当然ながら、こちらもグレアム邸からは遠く離れている。「術式は不明。ミッド式でも、ベルカ式でもありません!」

「同じく、こちらも術式は不明です。

転送先は、ただ今追跡中――分かりました。U-140です!」

「同じく、こちらも転送先はU-140!」

モニターに表示された次元座標を見る限り、双方の転送先はかなり近い。

「我々以外で、地球からU-140へ転送。一体誰が――」

この出来事に加え、例の魔力バッテリーがようやく実用レベルに達したこともあり、東京臨時支局は、U-140調査の再開を決定。

早速、バッテリーと検査器具を装備した武装隊員の精鋭が、ずっと手付かずだった「人里」付近へ送り込まれることになった。


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